産地・工場だより 商品のデキカタ、商品のふるさとを紹介
震災の大きな被害を受けた石巻ですが宮城のコメは元気に育ちました
宮城ひとめぼれ JAいしのまき

JAいしのまきは、宮城県北部にあります。
東日本大震災では、沿岸部をはじめもっとも大きな被害のあった地域です。
平成13年9月1日、石巻地方1市9町のJA石巻市、JA河北、JA桃生町、JA北上町、JA宮城河南町、JA鹿又、JA矢本町、JA鳴瀬町、JA女川町、JA牡鹿経済の10のJAが合併し、いしのまき農業協同組合(JAいしのまき)が誕生しました。

JAいしのまき管内は、宮城県の北東部に位置し、総面積723平方キロメートル、人口約22万7千人を抱える地域です。中央部及び西部地域を一級河川の新・旧北上川と鳴瀬川が貫流し、地形は平坦で水田に適した沖積平野が広がり、その水田面積は12,000haと県内有数の豊かな穀倉地帯をつくりあげています。主な品種は「ひとめぼれ」「ササニシキ」を中心に、良質で高品質な米が生産されています。特にササニシキの生産量は、全国1位を誇ります。また、冬は雪も少なく、1年を通して温暖な気候に恵まれ園芸農業も盛んに行われ、キュウリ、トマト、イチゴ、ネギ、ガーベラなどは特産品として周年栽培しています。
自然に恵まれ「大地の幸・山の幸・川の幸・海の幸」がそろった"いしのまき地方"は、「やすらぎとふれあいを大切にした」まごころの地域です。
当JA管内は震災による津波の影響で、管内水田の3分の1にあたる4,000ヘクタールが海水やがれきが流れ込む被害を受けましたが、水田に蓄積した塩分を取除く作業を徹底したことで、このうち、1,000ヘクタールに田植えをすることができました。復興には相当の歳月を要しますが、生産者はいしのまき米に誇りを持ち一歩ずつ復興に向けて進み始めています。秋には『良質ないしのまき米』をお届け致しますのでご期待願います。
Q 今回の震災では大きな被害を受けた地域ですが・・・
22年産のお米の貯蔵倉庫も大きな被害をうけました。
A. JAいしのまき管内は震災による津波の被害が大きく、農畜産物の被害状況や安否確認に時間を要しました。対策本部を設置し、地域と連携をとりながら、一つひとつ取り組んできました。
水田は管内の3分の1にあたる4000ヘクタールが海水やがれきが流れ込む被害を受けました。しかし、生産者の除塩作業によって1000ヘクタールに田植えをすることができました。また、全国から約1000人の支援隊が訪れ、園芸施設のがれき撤去に力を貸してくれました。
Q 国の政策が遅れる中、生活や産業のたてなおしは大変ですが、
東北の地の生産者として今の消費者に望むことは?
A. 生産者は米・畜産・園芸産地としての誇りを持ち、復興に向けて進んでいます。いしのまき産をはじめ、東北産、東日本産の商品を店舗で見つけたときは、ぜひ手にとり、生産者の結晶を味わってください。
1.苗と田んぼの準備
おいしい米づくりは、「土づくり」と「育苗」から
土づくり
「イネは地力で作る」といわれています。有機物をいっぱい含んだ堆肥やイネの生育に必要な成分を含んだ「土づくり肥料」を水田の土に混ぜることで、栄養を蓄え、おいしい米をたくさん作ることが出来ます。
育苗
温湯処理
農薬を一切使わずに水稲の種もみを殺菌する「温湯処理」に取り組んでいます。18年産米からはJAで供給する全ての種もみを温湯処理しています。
JAいしのまきは安全・安心で、環境にやさしい米づくりに挑戦しています。
塩水選
発芽や出芽をそろえるための重要な作業です。
発芽力の強い種モミを選んだり、種子伝染性病害にかかった種モミを取り除いたりするため、塩水選を行います
春まき
春の訪れを告げる米の種まきです。
JAの育苗センターでは地元農家の人たちの協力で「ひとめぼれ」「ササニシキ」「まなむすめ」などの種をまきます。
種から芽が出て苗となり、5月の田植えまで大切に育てられます。

2.田植えと田んぼの管理
JAいしのまき管内では、ゴールデンウィークから、
田植えが本格的に始まり5月中旬にピークを迎えます。
代かき
代かきは、田植え作業や田植え後の水管理をしやすくします。また水漏れの激しい水田では、漏れ防止にもなります。
田植え
農家の人たちやお手伝いに来た親戚の人たちが苗を植える姿があちこちで見られ、活気にあふれます。
水管理
イネ作りで最も重要なのが水管理です。水管理の良し悪しがイネの生育、収穫、品質に大きな影響を与えます。
生育調査
6月から3カ月間、10日おきにイネの生育を調査しています。イネの生育がどの過程にあるか、肥料の吸収、病害虫の発生状況などを調査します。
防除
水田の雑草や病害虫などを防除します。無人ヘリコプターまたは個人で薬剤を散布し、病害虫などを防除します。19年度から無人ヘリコプターでの防除が広範囲になり、「無人ヘリオペレーター協議会」を設立し、技能向上と作業の効率化を図っています。
米出荷予約
「JA米」の安全・安心な米づくりのため、出荷する予定の米の量を農家がJAに申し込むほか、生産履歴の記帳などを確認します。
7月現在の宮城ひとめぼれの田んぼです。
3.中干しから出穂
中干し
安定した収量を得るために必要な茎数を確保したら、水を抜いて水田をほどよく乾燥させます。この作業は中干しといい、6月下旬から7月上旬にかけて1週間〜10日間ほど行います。「中干し」には、必要以上の茎が出ないようにしたり、根の活力を高めて、養分吸収を良くしたり、倒れにくいイネにしたり、収穫作業を行いやすくする、などの様々な効果があり、とても大切な作業です。
出穂
8月に入ると穂が顔を出して伸びてきます。イネは穂が出るのと開花がほぼ同時に行われ、花は穂の先から順に咲き始めて1週間くらいで咲き終わります。イネの花は午前9時頃からほんの数時間しか咲きません。


追肥と水管理が重要
中干しが終了するころには、イネは幼穂(ようすい)(穂の赤ちゃんを)を作り始めます。この時期は幼穂形成期(出穂の25日くらい前)、減数分裂期(出穂の15日〜10日くらい前)と呼ばれ幼穂が作られ発育する期間でイネにとって最も大切な期間のひとつです。
肥料を与えて稲の栄養状態を改善したり、水不足にならないよう水管理に注意します。
また、幼穂は低温に極端に弱いので、気温が低い日が続く場合には水田に15cm位の水を張って(深水管理といいます)幼穂を保護します。
4.開花〜結実
沈下粒調査
出穂25日の調査で、もみの中に身が入ったかどうかの確認をします。
イネの病気
イネにとっての大きな病気には“いもち病”や“紋枯病”などがあります。これらの病気にかかってしまうと、収量はもちろんのこと、品質も落ちてしまうので、対策として田植をする時に農薬を使用します。
イネの害虫
代表的な害虫はカメムシです。カメムシは出穂後に水田内へと侵入し、登熟始めの米粒(乳熟状態)を吸汁します。吸汁された米粒は黒い色の斑点米となり品質を大きく低下させてしまいます。このため、イネが出穂して1週間程度経過した頃にカメムシを退治するための農薬を散布します。
イネを病気や害虫から守るためには、細かな手入れとともに最低限の農薬は必要となります。
手入れと農薬の相乗効果によって、より高品質・良質米に仕上げることができます。
お米作りQ&A 答えてくれたのは・・・JAいしのまき 鈴木さん
Q 今年のお米の生育状況はどうですか?
津波による塩害で、イネの成長に影響はあったのですか?
A. 津波で塩害を受けた水田のうちガレキ等がなく被害が軽微であった水田では入水、代かき、排水を数回繰り返すなどの除塩対策を行った後に作付けを行いました。除塩対策が功を奏し、被害の無かった水田と遜色ない生育となっています。生産者もできばえを楽しみにしています。
Q この時期の米づくりで苦労されていることは何ですか?
A. 米の登熟期間中は暑くなりすぎると、米粒の品質が低下するため、水田の水を停滞させないように循環(入水と排水を数日間隔で繰返す)させて、水田の地温があがりすぎないように水管理を徹底することが大切になります。
Q 「宮城ひとめぼれ」のお米のこだわりや自慢を教えてください。
A. JAいしのまきで、最も生産量の多い品種です。
粘りやツヤ、うまみ、甘みが絶妙なバランスでひとくち頬ばると、ほのかに香り、口もとにひろがる美味しさはまさに「おいしさを直感」できる逸品です。
8月現在の宮城ひとめぼれの田んぼです。

5.収穫から玄米へ
収穫
ひとめぼれは穂が出てから、おおよそ40〜45日経過しますと、稲穂が黄金色となり刈取り時期をむかえます。管内は圃場の大規模化が進んでいるため、刈取り時期になりますと大型のコンバインにより一気に刈取りが行われます。写真のようなコンバインですと1日当たり2〜3ヘクタールを刈取ることができます。
脱穀
刈取られた稲穂は、コンバインのこき胴(脱穀装置)で脱穀されて籾タンク内に集積されます。籾タンクが満量になりますとコンバインからグレンタンク(籾搬送用のコンテナ)に移し替えて、カントリーエレベーターなどの乾燥調製施設まで運搬します。
検査

49人の農産物検査員が集荷された米の銘柄・品位等の格付けを行っています。JAいしのまきは宮城県農産物鑑定競技大会で団体3連覇(個人の部では3年連続全国大会出場)を成し遂げており、確かな鑑定眼で米の品位等の格付けを行っています。
保管
品種・等級・買入区分ごとに仕分けされ倉庫で保管されます。低温倉庫には空調設備が完備されているため、適温・適湿で管理できるため1年を通して玄米の品質・鮮度を保持することができます。
サイロ
生産者が搬入した籾はゴミ等が取除かれた後に、サイロに運ばれて乾燥・保管されます。カントリーエレベーターでは火力乾燥はせず自然乾燥に近い状態で乾燥するため米粒に不要なストレスをかけません。また、鮮度を保つため籾の状態で保管し、出荷直前に籾摺りが行われるため、いつでも美味しい米に仕上げることができます。写真はカントリーエレベーターサイロ内を撮影したものです。1本のサイロには約300tの籾が貯蔵できます。これは、日本人約4,500人が1年間に消費する米の量に相当します。
10月6日現在の宮城ひとめぼれの田んぼです。

6.出庫〜商品お届け
JAいしのまきの倉庫で保管された玄米は、精米施設のある木徳神糧さんの滋賀工場で精米されます。
入荷
産地で籾すりが行なわれ、玄米の状態で精米工場に入荷します。
精米
大型精米機で厳しいチェックのもと玄米のヌカが取り除かれ、白米に仕上げられます。
選別
選別機により、石や金属、ガラスなどの異物や黒点・割れなどの被害を受けた粒などを除去します。
袋詰め
自動包装機により白米を袋詰めします。
原料玄米投入から袋詰めまで、ほぼ密閉されたラインで人の手に触れずに加工されます。
出庫
袋詰めされた製品は、パレットに積まれ、異物混入防止や荷崩れ防止のためラップを巻かれ、センターや店舗に出荷されます。
玄米・胚芽米・白米の違いは?
違いは、お米の胚芽部分の状態。玄米はもみ殻を除去しただけのもの、胚芽米は胚芽を80%以上残したもの、白米はすべて取り去ったものです。胚芽部分にはビタミンB1や食物繊維などが多く含まれていて栄養価としては高くなります。一方、精米することにより外皮の部分が取り除かれ、「炊く」という方法では一番お米の食感や旨みが引き出され、おいしく食べやすくなります。


組合員さんへの新米のお届けは11月2回からを予定しています。 今しか食べられないつやつやの新米をぜひご利用ください。 「ひとめぼれ」は、味・香り・粘りがそろった人気の銘柄米です。 JAいしのまきをはじめJA古川、JA栗っこを産地指定しています。
農業とお米のプロに聞きました。
答えていただいたのは・・・JAいしのまき 鈴木さん、木徳神糧 岸さん
Q 震災から半年、今年は本当にご苦労の多い稲作だったと思います。

A. 津波がひいたあとの塩害を受けた田んぼの除塩作業に苦労しました。前例がないわけですから。塩類濃度の高い土壌では農作物は育ちません。通常は1回のところを3回行い、土壌の塩分を取り除きました。除塩前は2ミリジーメンスほどあった土壌中の塩類濃度は最終的には稲の生育に支障のない0.3ミリジーメンス程度まで低下させることができました。(被害の無い通常の田んぼの土壌では0.1ミリジーメンス程度です。)震災で被害を受けた生産者や職員も多く、大変な作業でしたがガレキ除去などボランティアの人たちの助けもあり、1000ヘクタールを田んぼとして再生して作付けすることができました。
被災後の石巻市
JAいしのまき
営農販売部 米穀課
鈴木さん
福島第1原子力発電所の事故がはっきりしてきて、農作物への影響も懸念される中、宮城のコメは大丈夫と信じて大切に育ててきました。8月上旬にJAの自主検査、9月初めの宮城県による収穫前予備調査でも不検出でした。最終9月20日の収穫後の本検査でも管内の38か所すべてで不検出となり、出荷が可能となりました。
収穫前の8月末に訪ねた石巻市は、復興は進んできたもののまだまだこんな状態。瓦礫が積まれ、震災前は住宅や農地だった部分も更地のままになっています。
Q 毎年収穫時期にやってくる台風で被害を受けることも多いと聞きますが
A. 気象から受ける被害は避けることができません。とりわけ登熟期にやってくる台風は被害が大きいです。強風による稲の倒伏や大雨による冠水など、いずれも米の品質低下を招きます。毎年台風シーズンになると祈るような気持ちです。
コープきんき
事業連合・商品活動 チーフ 中川
Q JAいしのまき管内全体での今年のお米の出来ばえはいかがでしたか?
A. 8月31日の出穂25日後調査では平年並みの作柄であることが確認できました。管内の稲刈りは9月20日頃から始まりました。台風15号の影響で数日刈取りが停滞しましたが、その後は秋晴れが続いたため刈取り作業は順調に進みました。収穫したコメの品質ですが、登熟期に天候に恵まれたことから粒張り、粘り、ツヤ、食味(甘み)ともに良好な出来栄えとなりました。
Q 販売されているお米は、銘柄米やブレンド米、産地指定米などいろんなものがありますが、お米の表示のコトを教えてください。
木徳神糧
米穀事業 営業部門
主任 岸さん
A. 共同購入の紙面や店頭には、白米(普通精米・無洗米)や胚芽精米、玄米、金芽米などが並べてあります。精米工場に入荷したお米が製造工程中に混ざることのないように、コンピュータや複数の帳票を使い管理しています。
お店に並んだものを選ぶときは、商品の裏面に記載してある銘柄の特徴を確認していただき、お好みの特徴の銘柄を選んでいただくことと、精米日付を確認していただき新しいものを選んでいただくことががポイントです。

Q 毎年楽しみな新米ですが、家庭でお米をおいしく炊くコツなど教えてください。
A. 現在は新米も水分管理がされているため、水加減を少なくしないでいつも通りの水加減で炊飯してください。
とぎ洗いの後のザルあげなどは水分蒸発による急激な乾燥で、お米が割れ、ざらつきやべちゃつきの原因となってしまうためさけてください。とぎ洗いの後はすぐに加水していただき、最低30分間は浸けおきを行います。浸けおきが不足すると、お米に水が充分に吸水されず芯が残ったごはんになってしまいます。炊飯前の浸けおきがおいしいごはんを炊くコツです。
おいしいごはんを食べていただくには、たきたてのごはんを食べていただくことが一番です。残ってしまったごはんは変色や臭いの原因となりますので、炊飯器で保管しないで、ラップなどに包んで冷凍庫に入れていただき、再度お召し上がりになるときに電子レンジで解凍して召し上がっていただくことが保管したごはんをおいしく食べるコツです。




