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Productつくるひと つくるところ
「人」がわかると商品もわかる。コープの商品に携わる“中の人”をとおして想いを届けます。

From 兵庫県株式会社メイショクのお仕事流儀
具もこだわりもたっぷり詰め込んで
くらしに寄り添う
「いつも」の豚まん
2025.05.02
「CO・OP具たっぷり豚まん」
※お取り扱いは生協によって異なります。
INDEX
パクッとかぶりつけば、ひとくち目からもう具が登場。その満足感たるや…!
今回ご紹介するのは、『具たっぷり豚まん』。1997年の発売以来、愛され続けて今年で28年目を迎えるロングセラー商品です。皮と具材の割合はなんと50対50!一般的な豚まんは皮60%、具が40%の比率だそうで、それに比べるとその名に違わぬ「たっぷり」っぷり。そんな人気の商品の開発秘話を探るべく、株式会社メイショクの加古川工場を訪れ、たっぷりお話を聞いてきました。
INTERVIEW

ふかふかの皮にギュッと詰まった具材。そのおいしさと、レンジで温めるだけで食べられる手軽さが人気です。
蒸し器を超える、レンジ調理の挑戦
株式会社メイショクは、黒毛和牛をはじめとする牛・豚・鶏肉の食肉加工を得意とし、兵庫県加古川市に1万3000平方メートルの広大な工場をもつ食品加工会社。もともと日本生協連の豚まん製造を手掛けていたメイショクに、今から30年以上も前、日本生協連からこんな要望がありました。「蒸し器で調理する冷凍豚まんは調理に手間がかかるので、レンジで調理できるようにしたい。また、具材と生地に隙間がなく、調理後に手割りで分割出来る、国産の原料肉や野菜がたっぷり入った豚まんを作ってほしい」。
営業部の原田さん曰く、「当時、電子レンジは冷凍豚まんの調理器具として認知されていなかった」のだとか。そんな中、レンジで簡単に、蒸し器よりおいしい冷凍豚まんを作るというチャレンジが始まりました。

手前から営業部の藤井さん・生産部の沖本さん・工場長の東さん・営業部の原田さん
終始和やかに商品への想いを語ってくださいました。
小麦粉からオリジナル
試行錯誤で生まれた生地
一番難しかったポイントは?と尋ねると、皆さん口をそろえて「小麦粉!」とのご回答。市販の小麦粉ではレンジ調理で「ふっくら」とした生地の食感を出すことが難しく、製粉会社と協力し試行錯誤を重ねた結果、『具たっぷり豚まん』専用のオリジナルの小麦粉を開発。この小麦粉でレンジ調理した生地は、「ふんわりとモチモチ」の食感になりました。
製法にもこだわりが。当初の生地は、ストレート法(一度に生地原料を練り上げる方法)でしたが、2016年のリニューアルで、中種法(二段階に分けて発酵させる)に変更することで、レンジで温める際の打ち水が不要に。レンジ調理に適した、おいしく仕上がる生地が生まれたのです。

弾力があってずっしりと存在感のある粘り気です。
さらに2022年のリニューアルでは、中種法と湯練りの折衷法を採用し、生地がよりふんわり、もっちりとした食感に進化しています!

肉に妥協なし!肉屋のプライド
「メイショクは元々和牛専門店の神戸菊水(当時、梅田食品)の加工部門を分離し設立された会社。それもあって、使用する肉は原料処理からこだわっています」と語るのは工場長の東さん。『具たっぷり豚まん』に使用するのは国産豚のウデ肉。一番よく動く部位で、赤身と脂身のバランスが良いのだとか。仕入れたウデ肉のかたまりは、分割・整形して、小さな骨や血管を熟練の職人が手作業で取り除きます。さらに肉の鮮度にもこだわりが。整形した肉は豚まん製造に必要な分だけをミンチに加工。このひと手間をかけることで肉感・旨みが生まれるのだそうです。素材の味だけでなく、お肉屋さんの技術が光る工程なんですね。
具材が作る、食べる楽しさ
品質が支える安全安心
具材はミンチと国産たまねぎ・キャベツとタケノコの水煮。「練ったミンチに野菜を加えてからは、あまり混ぜすぎないようにしています」と教えてくれたのは生産部の沖本さん。「混ぜすぎないことで何の野菜を食べているかわかるように、食感を残しているんです」。確かに「具たっぷり豚まん」は食べたときにタケノコの食感や野菜自体の風味も味わえるのが楽しいんですよね。

たっぷり入った具には“小さな子どもが食べた時、
ひとくち目から中の具に届くように”という心遣いが込められています。
食品の製造管理には、『具たっぷり豚まん』製造当初からHACCP方式が取り入れられており、使用する主原料(豚肉、野菜)は産地から生産者まで辿ることが可能とのこと。コープ商品を数多く手掛けるメイショクだからこそ、徹底した品質保証で安全安心に対するこだわりが込められていました。

組合員の声で重ねた進化
「誕生から28年間、『具たっぷり豚まん』は常に組合員さんの声に育てられてきた」と営業部の藤井さんは言います。「ある学習会で『具たっぷり豚まん』を試食された方から「うちはこの商品を買いません」との言葉をいただきました。聞けばその方には強いアレルギーをもつお子さんがいらして、乳と卵が入っているから子どもに食べさせられない、と」。乳と卵が使用されていたのは豚まんの具材に用いたパン粉の部分。そこで、メーカーと協力して乳と卵が入っていないパン粉へ変更。わずかでも乳と卵が混入しないよう、約1年かけて工場内で製造する他の商品のパン粉まですべてを切り替えました。

他にも、調理方法がわかりにくいとの声に応えて、レンジ加熱前の打ち水が不要でもおいしく仕上がる生地への改良。調理後の食感にムラがあるとの声に応えて、固くなりやすいてっぺんの部分をローラーでなだらかにするなど、大小様々なリニューアルを積み重ねてきました。
既存の範囲で応えるのではなく、応えるために必要であれば新しく方法を生み出す、組合員の要望にいつも全力で応えるその姿勢が、長く愛される秘訣かもしれません。

豚まんの下に敷かれている敷き紙には、剝がれないけれど食べるときには剥がしやすいよう
工夫されたシリコンがついているのだそう。
こんなところにも細やかな配慮が。
レンジでチン!にもひと技効かせて
進化を重ねるこだわりの豚まん、食べる際にはお皿に移してラップをかけ、電子レンジでチン!するだけですが、ここからがさらにおいしく食べるポイント。加熱後ラップをかけたまま1~2分蒸らすと、さらにふんわりもっちり仕上がるんです。ラップの代わりにスライスチーズをのせたり、レタスで包んだり、楽しいアレンジも教えていただきました。手軽さはそのままに、おいしさが広がりそう!
最後に、「『具たっぷり豚まん』は今が完成形ではありません。これからもっともっと進化させていくために、組合員さんの忌憚のない意見がほしいです」と語ってくださった言葉には、これからも暮らしに寄り添い、愛される続ける商品であるための真摯な思いが込められていました。

※商品情報・役職等は取材当時のものとなります。
編集後記
メイショクのロゴは「大樹深根」を表現しており、“人は寄り添いながら生きるもの”という思いが込められているのだそうです。組合員の目線で商品づくりを続ける会社の想いが、青空に大きく映えていたのがとても印象的でした。