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「人」がわかると商品もわかる。コープの商品に携わる“中の人”をとおして想いを届けます。

From 長崎・島原雲仙 JA島原雲仙のお仕事流儀

From 長崎・島原雲仙JA島原雲仙のお仕事流儀

ちょっと小ぶり!?
だけどおっきな食べ応え!

2023.04.07

コープきんき産直商品
「大雲仙トマト」

※お取り扱いは生協によって異なります。

長崎市街から東へ車で約1時間。長崎県の“食糧基地”とも呼ばれる島原半島は、雲仙岳がどんとそびえる雲仙天草自然公園を中心に有明海に囲まれた自然と歴史が豊かなところです。南島原地域の温暖な気候の中、今回ご紹介する「大雲仙トマト」は、我が子の様に手塩をかけてじっくり栽培されています。

現在さまざまな種類がたくさんの産地で作られているトマトですが、「大雲仙トマト」は「長崎県特別栽培農産物」の認定を受けたトマトです。京都生協・いずみ市民生協などの産直活動からはじまり、コープきんき産直商品として2011年から13年目を迎える代表的な産直商品になりました。
ちょっと小ぶりですが、味が濃くおいしいトマトを作っているJA島原雲仙の生産者さんにお話を伺いました。

INTERVIEW

コープきんき産直商品「大雲仙トマト」

(JA島原雲仙:井口さん、岩永さん、吉村さん、宮田さん(営農指導課))
「わしら自慢のトマト、食べてみんね!」

子どもたちが「おいしい!」ってかぶりつくトマトを

ー 大雲仙トマトの安全とおいしさへの取り組みを教えてください

「約100日かけてじっくり育てています」トマト部会 部会長・井口さん

「JA島原雲仙では、2003年から長崎県で環境保全型農業、2005年から「長崎県特別栽培農産物」の認証を受け、安全なトマトづくりに励んできました。JA島原雲仙トマト部会には現在48戸のトマト農家さんが在籍し、トマトを苗から育てています。組合員さんにお届けする「大雲仙トマト」はすべて「特別栽培農産物」、つまり化学肥料や化学農薬を慣行栽培の1/2に控えた栽培なのです。生産者は全員「長崎県認定エコファーマー」(※1)として、高い意識をもって日々生産しています。」と柔和な笑顔の部会長 ・井口さん。

トマトの栽培期間は一般的には約75日ですが、「大雲仙トマト」はなんと約100日!“早くたくさん作る”ではなく、組合員さんに“おいしい!”と満足していただくため、時間と手間をかけています。主な品種は「ソプラノ」「SC-167」。両方ともしっかりした果肉が特徴で、特に「ソプラノ」は小ぶりながらしっかりした肉質と後からくる甘みが評判の品種です。
担当バイヤーがもぎたてを食べさせていただきました…「果肉の食べ応えが、すごい!」

※1:エコファーマーとは:①土づくり、②化学肥料低減、③化学農薬低減に一体的に取り組む計画を長崎県知事が認定した農業者のこと

人・ハチ・微生物が、ともに作る

ー トマト作りのこだわりを教えてください

人・ハチ・微生物が、ともに作る

「 “島原の乱”後、新たな入植者が農地を守り育て、島原半島は“長崎の食糧庫”と言われるほどになりました。ここ南島原市のトマト生産地では、火山性粘土質の土が、ぎゅっと実のしまったトマトを作る。この土なしではできないんですよ。」そう教えてくれたのは日焼けしたお顔が素敵な副部会長・岩永さん。

岩永さん

副部会長・岩永さん

「6月頃に収穫を終え、すべて土に返します。ハウス内の土は温度上昇による消毒を2か月ほど行いながら休ませて、夏頃から本格的に土づくりを開始。化学肥料などはほとんど使わず、微生物などの力で土を肥えさせます。土づくりからトマトづくりはスタートします。肥料をやりすぎると土がダメになる。土の持つ力を引き出すのが生産者の腕の見せどころなんです。もっとおいしいものを。365日そればかり考えています。」

ー ハチが飛び交う圃場(ほじょう)

「果実であるトマトを無事に成果させるには受粉が必要です。人工授粉という方法もありますが、ひとつひとつの花に処置を行うため、とても大変な作業です。なので自然の営みであるマルハナバチにも受粉の役割を担ってもらっています。ハチは私たちにとって「益虫」ですが、カビなどを持ち込む「害虫」には、防虫ネットで侵入を防ぎつつ、侵入してしまった虫には粘着板などの対策を行うことで、なるべく農薬散布の軽減に努めています。農薬散布の軽減は、トマトの健康はもちろん、土の健康・人間の健康にもつながっています。土や生き物の力を借りながら、人間がじっくり作っている「大雲仙トマト」なんです。」

糖度を上げる、保つ挑戦

ー 最近はトマトにも甘さが求められているのでは?

宮田さん

営農指導課・宮田さん

「糖度を1度上げようとすると、収穫量は1トン減少するんです」と営農指導課の宮田さん。ほ場や生産者さんの個性を尊重しながら、品種選び、土づくり、育苗、育成、出荷まで、生産者さんと相談を重ねながら、栽培の最適化を図るプロフェッショナルです。

「私たちが作っているのはトマトという野菜。最近では甘さを求める消費者のみなさんが多く、満足してもらうのは、結構大変ですね。消費者の好みに合わせて、品種を変える決断もしています。一昨年までは「麗容」という品種を扱っていたのですが、高温障害(ヘタ部分の黄変)を避けるため、「SC-167」に品種を変えたのです。」

品種の変更という産地にとっては大きな挑戦を経て、現在では17.5ヘクタール・年間で約2,500トンの大雲仙トマトの収穫を実現しています。消費者の声に向き合い、糖度が高く甘いトマトをつくるのは覚悟がいる大変な取り組みなのですね。

持続可能な地域のために

ー 昨今の値上げ情勢の影響は?

祖父母よりもっと前の代から同じ共同体を生き、土を作り農産物を育てることで地域を守る。「息子も就農し後継者もいるけれど先のことは分からない。でもこの土地でずっと食べていける農業をしっかり次の世代に残したいですね。」と地域への想いも語ってくれた副部会長・吉村さん。

吉村さん

副部会長・吉村さん

「経験、技術、そして情熱は誰にも負けん!」と、いつもハウスでトマトの観察・世話をしている井口さん。「トマト栽培はマニュアルどおりにはいかない。でも絶対においしい!って言わせてみせる。そんな気概でトマトを育んでいます。よりまろやかな食味で、子どもたちがかぶりつくようなトマトを目指したい。」

井口さん

部会長・井口さん

昨今のあらゆる物価の値上げ情勢など“とっても大変!”なことが重なり、年々生産農家は減少傾向とのこと。「コストは抑えながらも収穫量を確保し、確かな品質でお届けする。そして組合員さんの満足。為替や地球温暖化などの問題は年々増えていますが、コープの組合員さんと一緒に乗り越えていきたいです。」

※商品情報・役職等は取材当時のものとなります。

編集後記

「大雲仙」の名に恥じない、たゆまぬ努力と磨かれた技術、そしておいしいものを届けたい!そんな生産者の情熱が、ちょっぴり小玉のトマトにぎゅっと凝縮していました。
5月頃までコープの宅配で組合員さんにお届けします。

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