Productつくるひと つくるところ

「人」がわかると商品もわかる。コープの商品に携わる“中の人”をとおして想いを届けます。

From 大分 フンドーキンのお仕事流儀

From 大分フンドーキンのお仕事流儀

「おいしいものをつくろうよ」。
一番大切なのは変わらぬ想い

2023.08.10

フンドーキン醤油株式会社
「CO・OP野菜たっぷり和風ドレッシング」
「CO・OP深煎り胡麻ドレッシング」

社名注記

大分県中南部、瀬戸内と太平洋を結ぶ豊後水道に面した臼杵市は、新鮮な海の幸と、肥沃な大地が育む山の幸に恵まれた、食文化豊かな街。この地で江戸末期より「おいしいもの」を追求し続けているのが、フンドーキン醤油株式会社です。

コープのロングセラー商品「CO・OP野菜たっぷり和風ドレッシング」と「CO・OP深煎り胡麻ドレッシング」は、ここで手間ひまかけて丁寧に作られています。

INTERVIEW

フンドーキン醤油株式会社 「CO・OP野菜たっぷり和風ドレッシング」「CO・OP深煎り胡麻ドレッシング」

フンドーキン醤油株式会社が手がける、CO・OPのドレッシングシリーズ。
どれも素材自体の風味や味わいを大切にした、個性際立つドレッシングです

醤油づくりから防腐剤無添加味噌の開発、そして家庭用ドレッシング発売へ

創業は1861年と、江戸時代まで遡ります。初代・小手川金次郎が兄の営む酒蔵で、年に一度しか使われない「麹室(こうじむろ)」(麹を作る専用部屋)を利用し、醤油と味噌をつくり始めました。これがフンドーキン醤油株式会社の前身となる、醤油・味噌の製造会社「小手川商店」の誕生です。
その後、臼杵湾に流れ込む臼杵川の中洲に醤油と味噌の製造工場を建設し、海運によって九州だけでなく西日本へと販路を拡大しました。

1939年 (昭和14年) には、登録商標を 天秤計りの「おもり」である 分銅(ふんどう)に金次郎の名前をかけた"フンドーキン"に改名し、1953(昭和28)年頃からは、臼杵生協(現・生活協同組合コープおおいた)と取り引きを開始。1967(昭和42)年に社名を現在の「フンドーキン醤油株式会社」へ変更しました。
組合員の声から生まれた業界初の防腐剤無添加味噌「純生」や、「生きてるみそシリーズ」などが大ヒットし、その名は次第に全国へ。

そんな中、新たな挑戦として取り組んだのがドレッシングの開発でした。

「1980年代に入り、醤油と味噌の市場は全国的に飽和状態に。食事の洋風化も進む中で、何か新しいことをしなければいけないという想いがありました。そんな折に組合員さんから『おいしいドレッシングを作ってほしい』という声をいただいたんです。ちょうど生野菜を味わう“サラダ”の、食卓への登場機会が増え出した頃で、レストランだけでなく、家庭でもドレッシングを常備するようになり始めていました」。

「和風のドレッシングがあったら面白いのに、という声をいただいたこともあり、われわれのルーツである醤油を使ったドレッシングの開発に乗り出しました」と話すのは、同社取締役ドレッシング工場長 堺 留夫さんです。

  • ドレッシング工場長の堺 留夫さん。
    醤油づくりから携わり、40年以上調味料の世界で
    安全安心な商品をつくり続けています

  • CO・OP野菜たっぷり和風ドレッシングには
    厳選された素材がたっぷり

老若男女に野菜をおいしく食べてほしい。
そんな願いを形にしました

「商品開発の際に大切にしているのは、『手間ひまがかかったっていい。コストがかかったっていい。おいしいものをつくろうよ』という想い。これは弊社がものづくりをする上で、柱として持ち続けているものです。老若男女に、野菜をおいしく食べてほしいという一心でした」と、堺さんは力強く語ります。

目指したのは、香り高く旨味と彩りのあるドレッシング。自社製造の醤油をベースに、粗みじん切りした国産の玉ねぎを生のまま惜しみなく使い、にんにく、干ししいたけ、しょうがで旨みと香りをプラス。サラダのおいしさを引き立てる、味わい深い一品に仕上げたそうです。

フンドーキン醤油株式会社 「CO・OP野菜たっぷり和風ドレッシング」「CO・OP深煎り胡麻ドレッシング」

「試作品は組合員さんから大好評でした。その後も試作を繰り返し、まず地元である九州エリア限定で発売し、1994年には、現在の『野菜たっぷり和風ドレッシング』の名前で全国発売に至りました。 当時、材料である野菜がこれほど存在感あるドレッシングは、市販品としては他にありませんでした。その存在感を出すために、玉ねぎとにんにくは今でも手作業で剥き、カットしているんですよ」。

徹底した工程管理でこだわりの「手づくり感」を再現

ドレッシング工場に届けられる玉ねぎは、12月~5月は北海道各地から、6月~11月は佐賀県白石地区を中心とした九州各地からと、一年を通してより質の良いものを厳選。にんにくは名産地である青森県産です。「ドレッシングづくりの中で、一番のこだわりは手づくり感」と堺工場長が胸を張るように、1玉1玉、傷んだところはないか人の目でチェックし、鬼皮と呼ばれる外側の皮をエアを使って吹き飛ばしていきます。

フンドーキン醤油株式会社 「CO・OP野菜たっぷり和風ドレッシング」「CO・OP深煎り胡麻ドレッシング」

玉ねぎの皮剥きは1玉ずつエアを当てて行います。同時に傷みがないかをチェック。
傷みを見逃さないよう、工場内には説明書きが貼られています。

皮剥き工程の部屋に数分いるだけでも玉ねぎの成分で目がしみますが、皮剥き担当スタッフは1日3時間、2トン強の玉ねぎを処理するのだそうです。
「皮を剥き、3回の洗浄が終わったら、次はカットの工程。ある程度の大きさにカットしてから、にんにくも一緒にまとめて機械でみじん切りにします。その作業前に、カットを担当するスタッフは必ずすることがあるんです。

玉ねぎを設定された必要量までカット後、いったん作業を中断して、スタッフ同士でゴム手袋が切れていないかを確認します。万が一、手袋の指先部分を一緒にカットしてしまい、ゴム破片が見当たらない場合は目視で探し、見つからなかったらその時点でカットした玉ねぎは廃棄するのがルール。手作業にこだわりたいからこそ、手作業ならではのリスクはしっかり回避するようにしています」。
こだわりを突き詰めるなら手間ひまやコストは惜しまないという想いが、ここにも現れています。

  • 皮を剥いた玉ねぎをカットする工程。

  • 1日に何度もお互いの手袋が破れていないかをチェックして異物混入を防ぎます

その後、玉ねぎは"生"感を残すため、加熱せず醸造酢に漬け込み一晩寝かせ殺菌します。「ドレッシング1本の約16%が生の玉ねぎなので、風味と食感をしっかり感じることができます」。

醤油の風味も感じる野菜たっぷり和風ドレッシングは幅広い層に支持され、日本生協連が実施した、全国の組合員によるコープ商品の人気投票『コープ商品60周年総選挙2020』では、「生野菜を食べない娘がこれをかけるとモリモリ食べます! 魔法のドレッシングですね」「サラダがごちそうに変身して子どもたちの器が空っぽになる」などの声を受けて、堂々の第3位に選ばれました。

150回以上の試作からたどり着いた、風味豊かなごまドレッシング

CO・OP野菜たっぷり和風ドレッシングに続くドレッシングは続々と誕生していますが、その中でも組合員さんの熱いリクエストから2021年春にリニューアルしたのが「CO・OP深煎り胡麻ドレッシング」です。2002年に発売され好評だった商品ですが、「もっとごまの風味が濃厚なものを作ってほしい」という声が届きました。

「ごまの風味をしっかりと味わうことができて、子どもが食べやすいまろやかさ、そして大人が満足できる濃厚な深い味わいと旨味を形にしたかったんです」。そう話すのは、フンドーキン醤油株式会社で生協を担当する同社生協課長の岩崎博隆さん。

リニューアルまでに試作した回数は、なんと150回超え。2021年にようやく完成したのは、焙煎したごまをドレッシング全体の11.5%も配合した、とっても濃厚で甘口なドレッシング。サラダだけでなく、いろいろな料理と相性が良いと評判です。

  • ごまの量をわかりやすく説明する岩崎さん。

  • CO・OP深煎り胡麻ドレッシング。

「ボトル1本の原料の11.5%というのは、500mlサイズの場合ごまが約20,000粒という計算になります。約60gがごまなんです。ここまでごまが入っている商品は他にないのではないでしょうか」。

生産地で厳選され強焙煎したごまは、「つぶ胡麻」と、工場ですり潰した「すり胡麻」の2種類に分けられます。「『つぶ胡麻』は香りと食感を、『すり胡麻』はふくよかな味わい。それぞれに手を加えた後、すぐに混ぜ合わせ、風味の良さをいかしています」。

材料となるごまは2種類。油は雑味が少なくコクをプラスしてくれる一番しぼりのごま油を使用

深煎りの香ばしさとまろやかな酸味とコクは、目指した通りお子さんから大人まで大好評。
組合員さんから「ほかのごまドレッシングと違い、何度もリピートしています」、「生野菜を絶対に食べなかった子どもが、CO・OP深煎り胡麻ドレッシングと一緒なら食べた!」という声や、「サラダだけでなく豚しゃぶや炒めものにも使えて、ドレッシングというより万能調味料」という嬉しい声が届いています。

食は人を豊かにする。だから、食卓を囲もう。

「社長がずっと大切にしているのは"家族で食卓を囲む"ということ」と岩崎さん。「どんな商品を開発する上でも、大切にしているのは『おいしいものをつくろうよ』という想いで、それは食が人を豊かにするからという、フンドーキン醤油株式会社の信念から生まれたものです。だから、家族みんなで食卓を囲むという事が大事。そのためにこれからもおいしい商品をつくり続けます」。

TOPICS フンドーキンの豆知識

◆ドレッシングを混ぜようと、ついついボトルを持って上下に振ってしまいがちですが、ボトルの中心を持ち、弧を描くように手首を使って左右に軽く振ると、力を使わず簡単に混ぜることができます。

◆こちらも定番商品の1つである「料亭の味白だし」。かつお節のほか、さば節が入っていることで、料理をコクのある上品な味わいに仕上げます。原料には、本家・小手川酒造がつくる芳醇な風味の清酒「宗麟(そうりん)」を使用しています。

◆同じ臼杵市内にある小手川酒造では、看板猫の福ちゃんがお出迎えしてくれることも。プクプクとふくよかな、美しい三毛猫ちゃんです。

小手川商店の看板猫・福ちゃん。招き猫そのものの愛らしい風貌で迎えてくれます

※商品情報・役職等は取材当時のものとなります。

編集後記

CO・OP野菜たっぷり和風ドレッシングは、2024年に誕生30周年を迎えるそうです。長年愛され続ける理由は、食べる人を想う、強い信念とこだわりだと感じました。食文化に彩りを添える「つくりて」として、これからも食卓に欠かせない味を届けて下さるのが楽しみです。

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