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From 滋賀 近江八幡市 農事組合法人・愛農の郷おさだ<br>川村春男さんのお仕事流儀

From 滋賀 近江八幡市農事組合法人・愛農の郷おさだ
川村春男さんのお仕事流儀

今こそ 産直のお米を!「産直 無洗米滋賀みずかがみ」

2023.09.28

無洗米滋賀みずかがみ

※お取り扱いは生協によって異なります。


「米作りって、80回くらいしか経験できないんよ」。

以前お話を伺った米生産者さんの言葉です。どういう意味だったのかなと考えながら、列車の窓から見た光景は、黄金の稲穂が風にそよいで美しい。

8月下旬、滋賀県近江八幡市のJAグリーン近江さん、産直「みずかがみ」の生産をされている農事組合法人・愛農の郷さん、パールライス滋賀さんをコープの職員で訪れました。

INTERVIEW

無洗米滋賀みずかがみ

農業法人愛農の郷おさだ・代表の川村さん

地域を、関西を、日本の食を守る「米づくり」

ー いつから農業に携わっておられるのでしょうか。

「いつから農業に、と言われたら、中学校くらいからずっとやな」

日焼けした笑顔でお話しくださったのは、みずかがみの生産者・愛農の郷おさだの代表を務める川村さん。

滋賀県は昔から京都・北陸・中京方面の中間地点にある交通・物流の要所。そして「近畿のみずがめ」として京都から大阪に住むひとの生活用水の供給源“琵琶湖”を有する地域です。平野部も多く、比較的大きな規模の農作業も可能であるため、農業の機械化率も高いのだそう。近畿地方の食卓に上るお米は、水とともに、近江からやってくるのです。

農事法人組合 愛農の郷のメンバー(左から)高木さん、坪田さん、村井さん

「平日は他所へ働きに。土日は農作業。普段はリタイアしたじいさん・ばあさんが農作業してるんや」

なるほど。農業と別のお仕事を兼業し、リタイア後は専業になるわけですね。滋賀県は兼業農家率が全国1位だそう。

「みんなでそうやって、農業を通じて地域を守ってきたんや。みずかがみ→コシヒカリ→キヌヒカリと作付け時期・収穫時期をずらしてみんなで協力してやってるよ」。

そう、そうして地域をまとめて「農業法人 愛農の郷おさだ」を設立、「コシヒカリ」や今回ご紹介する「みずかがみ」に代表される「近江米」を出荷しています。メンバーは現在77名(ほとんどが65~70代とのこと)で、力を合わせて暑い中で作業されているとのこと。

  • お米は我が子!
    おいしく食べられてほしい!(坪田さん)

  • お話を聞きながら美しい水田へ
    (川村さん、ならコープ勝田)

ー 今年も暑くて大変でしたね。お米のできが心配ですが…。

「こんな異常気象やで、毎年心配や。今年も暑くてどうなることかと思ったけど、なんとかいいお米ができたで。害虫対策の除草や猛暑続く時期(8月下旬~)での収穫がすごい大変やけど、この“ブランド米”を作ってる、それに自信と誇りをもってやっているからできることやね。」

なるほど。今年もおいしいお米をいただけるわけですね。生産者のみなさんのご苦労には頭が下がります。

「みずかがみ」ってどんなお米?環境こだわり農産物って??

JAグリーン近江の関島さん・JA全農しがの辻さんに、そのよさを教えていただきました。

「“みずかがみ”は高温に強い品種として滋賀県が10年度かけて開発、2013年にデビューしました。

①暑い時でもきれいなお米ができる
②病気の抵抗性はやや強い
③割れにくく品質が安定
④炊くと白く輝くツヤがあり、食味がよい
⑤粒感しっかり、硬さと粘りのバランスがよく冷めても美味しい

そんなすばらしい特長を持つお米なんですよ。」

「冷めてもおいしい」のは「粘りがほどよく=水分がしっかり保てる、劣化しにくい=硬くなりにくい、冷めたほうが甘く感じる」ということだそう。だからお弁当やおにぎりに“いい感じ”のお米なんですね。 そして、特筆すべきはこのお米はすべて環境に配慮して栽培された「環境こだわり農産物」であるということ。

  • JAグリーン近江 関島さん

  • 滋賀のお米のことを学ぶのははじめて…。
    やや緊張の職員。

ー 「環境こだわり農産物」について少し詳しく教えてください!

①化学合成農薬および化学肥料の使用量を慣行の5割以下に削減すること
②濁水の流出防止など琵琶湖をはじめとする環境への負荷を削減する技術で生産された農作物
という基準で作られる農産物につく滋賀県独自の認証制度です。「みずかがみ」はどこで流通しているものもすべてこの認証がついています。

「琵琶湖の水は近畿地方の人たちも使う大切な“くらしの水”。そこへ流れ込む水を守る「環境こだわり農産物」の生産にとりくみ、それを消費者に購入いただくことで、琵琶湖の水源を守ることサイクルができあがるのですよ。」
さらに、水田で“濁った水”を発生させない、琵琶湖に流出させないための技術開発や、薬を使わずに田んぼを“殺菌・消毒”するとりくみなど、環境負荷を削減するための努力を、生産者とJAさんが一丸となって取り組まれているそう。米作りの地道な環境へのとりくみと、並々ならぬ努力が、消費者の健康と食の安全につながっているのですね。

さて、みなさんは、普段「お米を研いで」いますか?それとも「無洗米」を食べていますか? 「現在コープきんきでのお米のご利用は、実に約85%が無洗米なんですよ」と日本生活協同組合連合会・米穀商品担当の久保さん。「コープでは昔から世に先駆けて“無洗米”のご利用を進めてきました。便利さや食味の満足度と評価を積み上げてきた結果だと思います」。

「無洗米のいいところ、いっぱいありますよ!」と、パールライス滋賀・平井さん ①家庭でも工場でもとぎ汁が出ません ②工場でとった「肌ヌカ」(米の精)は完全リサイクル ③肌ヌカをあらかじめとっているので、5キロの米袋につき普通精米では150gは食べるところがプラス「つまり、とってもエコでおトクです!」。
気になるお値段ですが、以前は製造工程が多い“無洗米”を、普通精米に比べて高く設定していました。現在コープではなんと普通精米と同じ設定に(一部銘柄は除きます)。これは試す価値があるのでは?

  • ぬかでぬかをとる、
    無洗米の工場も見学。

  • 冷めてもおいしい?
    食べて確かめました。

守りたい、環境も身近な人も、未来も。

再び、川村さん。

「地域でまとまって法人化しみんなで力を合わせて農業しているけど、やっぱりみんな歳とって体はえらいし、農業から離れざるを得ない人もおる。輸送費や肥料代他いろんな値上げもあるしなぁ。でも一生懸命やるしかない。“環境こだわり農業”の実践と併せて安心・安全でおいしい米づくりを続けていくために、頑張っていかなあかん」。

そうです、私たち消費者は、自身や家族、友人などの安全や健康を気にします。そこには「食をどう選ぶ」か、という課題が常に存在します。「安全なものを食べさせたい」「環境負荷が少ないもの選びたい」ことは、現在、そして未来に向けてのみんなの願い。そして「おいしい」ことも大切ですよね。

そんな願いをかなえる答えのひとつが「日本の米」。そして「環境こだわり農産物」認証「滋賀県産みずかがみ」はみなさんの期待にこたえる「環境に配慮した、みなさんに安心・安全を提供できるおいしいお米」なのです。

右)ならコープ勝田 「組合員さんにしっかりご利用いただけるよう頑張ります!」
左)川村さん 「たのむでー」

米作りに携わる農家のみなさんの渾身の生産物を「食べること」で、「環境を守る」ひいては「くらしを守る」。「価格の高い安い」だけでなく「いつものお買い物の内容を少し立ち止まって、考えてみること」、または「生産地・生産者へ思いを馳せること」で、食をチョイスする際の迷いが少し減るかもしれません。

「そんな難しいこと考えんと、おいしいお米と味噌汁で、楽しいごはん食べてや!」最後に川村さんが笑顔で送ってくれました。

産直商品を食べる⇔生産者に声をフィードバックする⇔組合員の食卓を支える・生産者のくらしを支える、コープの「産直活動」。コープでは「滋賀県産みずかがみ」の他、いろんな農産物や畜産物で産地との結びつきをすすめるとりくみに、組合員さんのご利用を呼びかけています。

少し涼しくなって、お米の美味しい季節がやってきました。炊飯器に「無洗米 みずかがみ」をセットして、スイッチオン♪

しっかり利用していただきたい!そんな気持ちを込めて。

※商品情報・役職等は取材当時のものとなります。

編集後記

冒頭のお米生産者さんが伝えたかったのは「お米は一毛作なので、1年に1度しか作れない。=失敗できない」ということ。ですが今回の産地訪問で知ったのは、自然環境の悪化や労働・消費人口の減など「お米作り」がさらに難しくなっている現実。複雑な思いですが、こんな若手職員の頼もしい言葉に励まされて産地をあとにしました。
「おいしいお米を食べられるのは、生産者の努力の賜物。そのことを組合員さんに丁寧にお伝えします!」

  • 編集後記
  • 編集後記

今年は酷暑の中生産者もお米もがんばりました!

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