Productつくるひと つくるところ

「人」がわかると商品もわかる。コープの商品に携わる“中の人”をとおして想いを届けます。

From愛媛県 ヤマキ株式会社のお仕事流儀

From愛媛県ヤマキ株式会社のお仕事流儀

ツルツルッとすすれば口に広がる
だしの香りとうま味の余韻

2025.07.03

ヤマキ株式会社
「CO・OPそうめんつゆストレート」

※お取り扱いは生協によって異なります。

年々暑さ厳しくなる日本の夏ですが、太陽から逃れるように家に帰り、冷たいそうめんをつゆにくぐらせてツルツルッとすすった時の清涼感と満足感は、日本ならではの「食の幸せ」でもあります。それだけに「わが家はこれ」というお気に入りのそうめんつゆを冷蔵庫に常備しているご家庭も多く、スーパーには様々な種類のそうめんつゆがズラリと並んでいます。

そんな中で「CO・OPそうめんつゆストレート」は、コープでしか購入できないにも関わらず、関西圏でのシェアはなんと第3位という人気ぶり。組合員の心をつかんで離さない「CO・OPそうめんつゆストレート」の魅力を知るために、 製造を担うヤマキ株式会社本社・工場を訪ねました。

INTERVIEW

ヤマキ株式会社「CO・OPそうめんつゆストレート」

かつお節商品のトップシェアを誇る
ヤマキ×コープの自信作

700以上の島々が連なり、美しい景観が広がる瀬戸内海に面した愛媛県伊予市。ヤマキ株式会社(以下、ヤマキ)は、この地で花かつおの製造を開始し、今年108年を迎えた歴史ある食品メーカーです。

「花かつおをはじめ、かつおパックやだしの素など、かつお節を原料にした商品は年間約5,000トン製造しており、かつお節の取り扱い量は日本一となります」。そう説明してくれたのは、ヤマキ広域営業部係長の陰山直人さん。

「ヤマキは日本が世界に誇るかつお節・だしのおいしさと健康を世界中の人に届けたい、という想いで商品づくりに取り組んでいます。コープさんとのお付き合いは長く、様々な商品を取り扱っていただいておりますが、『CO・OPそうめんつゆストレート』は、特にだしを効かせることにこだわり、共同開発させていただきました」。

左からヤマキ大阪支店営業二グループの主任を務める福井佑奈さん、大阪支店営業二グループ長の林田嘉人さん、広域営業部係長の陰山直人さん。だし文化の素晴らしさを伝えたいという想いに溢れる皆さん

日本の食文化を支える「だし」が
効いたそうめんつゆが誕生

共同開発のきっかけは2018年。それまでコープが取り扱っていたそうめんつゆの容器を、より使いやすいペットボトルへ変更するにあたり、その技術を持ち、何よりだしの原料であるかつお節の調達力に優れ、つゆ製造の技術力も高いヤマキがコープとタッグを組むことになりました。
「リニューアルでこだわったのは『だしの効いたつゆ』。これまで培った『だし作り』の技術を活かし、だしをしっかり効かせることで他社との差別化を図りました」と大阪支店営業二グループ長の林田嘉人さんは語ります。

さらに2022年3月、「調味料(アミノ酸)不使用にして欲しい」という組合員さんの声を受けてリニューアルを試みました。
「正直に申し上げると、添加物としてアミノ酸を使わないというのはかなり大変なことでした。一般的にアミノ酸は味のインパクトが非常に強いので、それを除くと全体的に自然な味になるのですが、一歩間違えると味がぼやけてしまう。そこで弊社の強みである“だし”をさらに効かせることで、その点をクリアできましたが、決定するまで10回以上は試作を重ねました」と陰山さんは当時を振り返ります。

ヤマキが製造するつゆだけでも多種多様。日本でのシェアNo.1の“かつお節屋”として、厳選したかつお節の風味を味わえるものばかりです

「だしが効いたつゆ」ってどんなつゆ?

では具体的に「だしが効いたつゆ」ってどんなつゆなのでしょうか。
「『CO・OPそうめんつゆストレート』のだしに使うのは、かつお荒節と宗田かつお節、そして昆布。それぞれを増量してみると、かつお節のうま味成分・イノシン酸と、昆布のうま味成分・グルタミン酸の相乗効果で、しっかり味わいを感じることができ、食塩の量を落としてもおいしさは損なわれなかったんです。
最終的にはリニューアル前のものより食塩相当量を約20%削減し、アレルゲンとなるサバも未使用で、かつ味わい深いストレートそうめんつゆを完成させることができました」と大阪支店営業二グループの主任を務める福井佑奈さん。「だしが効いているって、しみじみ日本食のよいものを食べているなと嬉しい気持ちになるんです」とニッコリ。

その後、「甘みが強い」という声を受けて2022年に味をブラッシュアップし、だしの割合は変える事なく甘さを抑えました。組合員の声を受け止め、リニューアルして1年ほどですぐに反映してくださる真摯な姿勢に、「安全・安心な商品を届けたい」という想いを感じます。

かつお節からだしへ
工場から見えるこだわり

実際に「CO・OPそうめんつゆストレートを製造するのは、ヤマキの液体商品を製造する第二工場。ヤマキが目利きし選別した天然原料のかつお節を粉砕し、だしを抽出、調合、などを行います。工場内に一歩踏み入れると、たちまち濃厚なかつお節の香りに包まれて、なんとも幸せな気分に。

ヤマキ第二工場長の山本さん。
ピーク時には100人もの作業員が稼働し、食卓へめんつゆを届けます。

高品質のかつお節を、製造する商品に最適な大きさに粉砕し、いよいよだしを抽出します。「抽出方法は2種類あり、『CO・OPそうめんつゆストレート』には、循環抽出法という方法でだしを取ります。温水で抽出しただし液を循環させながら、粉砕したかつお節に通す方法で、要するにだしでだしを取るという形になります」(山本さん)
だしでだしを取る…とても贅沢なこの方法で、かつお節本来のうま味と、豊かな香りが引き出されるそうです。

ヤマキが開発した循環抽出法で「CO・OPそうめんつゆ」に使用するだしを抽出。
その後、火入れしょうゆと調味料を「だし」に調合し、品質検査を行ったのちに殺菌、充填しています。

充填したボトルを少し傾けて、フタの内側に熱いつゆを行き渡らせることで殺菌し、ラベルを装着します。

ストレートつゆと濃縮つゆは何が違う?

ところで、「CO・OPそうめんつゆストレート」は文字通りストレートつゆ。ヤマキには2倍濃縮のめんつゆなどのつゆもありますが、ストレートと濃縮、一体何が違うのでしょうか。
「濃縮つゆは水やお湯で希釈して使うことを前提にしているため、濃縮倍率が高くなるほど味の骨格を作るしょうゆや砂糖・塩などの調味料の割合が多くなります。反対に、そのまま使うストレートはだしの割合をより高くすることが可能です。濃縮つゆは経済的で濃さを調節することができ、ストレートつゆは開封してすぐ使えること、だしの風味がより楽しめるなど、それぞれに魅力があります。そうめん自体は味が強いものではないので、そうめんつゆはだしをしっかり効かせたストレートの商品が多いですね」と陰山さん。

例えば濃縮率が2倍だと、つゆと水の割合は1:1。4倍だと1:3で作るので、濃縮倍率が高いほどたくさんつゆが作れるというメリットがありますし、ストレートはその点で割高感があります。
どちらもおいしい商品なので、食べ比べてみて家族の人数や好みから選ぶのがよさそうですね。
まずはぜひ、「CO・OPそうめんつゆストレート」でだしの深い味わいを楽しんで。夏の食事を豊かにしてくれるそうめんつゆです。

最後に福井さんにアレンジレシピを教えていただきました。味付けは「CO・OPそうめんつゆストレート」のみの簡単メニューです。ぜひお試しください!

※商品情報・役職等は取材当時のものとなります。

編集後記

第二工場では日本食の土台であるだし、そしてそうめんつゆ作りに情熱を注ぐ方々を間近で見ることができました。さらにかつお削り節の製造を行う本社工場では、「世界一硬い食べもの」といわれるかつお節を切削する、切削機が重要な役割を果たすことも教えていただきました。特に切削機の要である鉋刃(かんなば)の交換・調整には高い技術が求められ、ヤマキには長い年月をかけてその技術を修得した「換鉋手(かんぽうしゅ)」と呼ばれる方がいらっしゃるそうです。原料だけでなく道具にも強いこだわりを持つヤマキだからこそ、組合員に愛される「CO・OPそうめんつゆストレート」が生まれたのだと感じました。

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