Productつくるひと つくるところ

「人」がわかると商品もわかる。コープの商品に携わる“中の人”をとおして想いを届けます。

From 広島県呉市 倉橋島海産(株)斉藤さんのお仕事流儀

From 広島県呉市倉橋島海産(株)斉藤さんのお仕事流儀

クリーム色の宝石
「COOP冷凍かき」

2024.01.26

「COOP冷凍かき(大粒)」

※お取り扱いは生協によって異なります。


“大きくって食べ応えがハンパない!”“身の縮みが少ないし、バラ凍結で使いやすい”など、ファンの熱い声が多い「コープの冷凍かき(大粒)」。瀬戸内海に浮かぶ倉橋島で、歴史ある牡蠣の養殖と販売にたずさわる「倉橋島海産」を訪ねました。

INTERVIEW

「COOP冷凍かき(大粒)」

はにかみながらも大きな笑顔でお話しいただきました

歴史ある水産業「かき漁」と自慢の「かき」

古くは400年前(江戸時代)から、養殖・漁が盛んにおこなわれ、その収穫量が日本一である「広島の牡蠣(かき)」。瀬戸内の穏やかで栄養豊かな海で約2年かけて育ちます。広島県では「県の魚」にも指定され、約250軒の業者(“漁師”ではなく“牡蠣師”とよばれる)がいるそうですが、養殖から加工・販売までを一貫して行なっているところは珍しいとのこと。

「食べたらわかる うちの牡蠣(かき)!」と2代目の斉藤社長。御年80を超えても、養殖の筏まで船のハンドルを握り、筏のメンテナンスなどにもどんどん出かける現役の牡蠣(かき)師さんです。「ビタミンやミネラルがたっぷり入ったかきが、人類の存続を支えてきたんですわ」と、いきなり壮大な話になりましたが、大げさではなく太古の昔の貝塚跡からは「かきの殻」が出土しているほど、生物としては古い歴史を持つと言われているそう。世界の人類が生き延びてきたのは、かきのおかげ?!かも?

  • 朝の6時。自ら操舵して養殖場へ

  • 採れたて!うま味がギュっ

「大きなまま、ぷるんとそのまま食べられるのがコープ冷凍かき」と斉藤社長。はい、コープの「冷凍かき」はご利用の組合員さんから「縮まない!」と大好評。期待を裏切らない「シンのかき」なんですね。

「かき」 のいまむかし

「昔は800軒ほどあったんだけどねえ。」と斉藤社長。現在はかき漁を生業としている企業体は減少、それに伴い地域の収穫量も大きく減っているそうです。
「従業員の確保も難しいし、船を出す燃料代も大きく上がって大変。もろもろのコストが上がって。その上…」その上、一般家庭の消費量も大きく減っているとのこと。「地元でも学校給食で出さなくなったので、“かきを食べる”という食体験が若い人にないんよねえ。」とため息。さらに2020年以降の「コロナ禍」で、お祭りや集まる場が減ったことも大きなマイナス影響となったそう。消費や需要量が増えないと、なかなか頑張れないですよね。

  • かき筏の上で作業中

  • かきの幼生を付着させた後のホタテ貝

「また“貝毒が怖い”という、一般の人に強くある恐怖心もなかなかに手ごわいハードルなんですわ」と斉藤社長。
そもそも「貝毒」ってどういうものなのでしょうか?牡蠣も生き物なので餌が必要。主に海中のプランクトンを食しているのですが、毒性をもつプランクトンを摂取した貝に毒素が蓄積されます。それを人が食べた場合に中毒症状が起こるもの。広島県では、海域における貝類の毒化状況を検査し、毒化した貝類の流通及び衛生上の危害の未然防止を図っているとのこと。実際、2012年5月の発生以降は規制値を超える貝毒は検出していないのだそうです。(参考:広島県ホームページ 農林水産局水産課「貝毒発生状況」より)

また「ノロウィルス」の不安もありますが、倉橋島海産では広島県の食品事業者が商品関係法令を遵守し日々取り組んでいる自主的な衛生管理を評価する制度「食品自主衛生管理認証」を取得するなど、安心して「かき」を食していただく努力を、生鮮食品会社としてしっかりとされています。
「かきは怖いという思いを払拭して、安心して食べていただけるとりくみはマストです」と加工工場長の新谷さん。とはいえ、食べ過ぎや消費期限にはご用心を。

工場長 新谷さん

「かき」が組合員さんに届けられるまで

かきの赤ちゃん(幼生)は、夏に生まれて約2週間海中を浮遊し、岩などに付着し成長します。その生態を養殖に利用し、穴をあけてつなげた帆立の貝殻に付着させ(採苗)、抑制棚で養育します。潮の満ち引きを使い、海水からの上げ下げでストレスをかけ、それに負けない強い幼生のみを残していくのです。浜の浅瀬で約1年育てた幼生は、沖へ運び約10メートルのワイヤーでつないでさらに約1年、瀬戸内海の穏やかな潮流の中で育っていきます。

  • 小さくチョコっとついているのが、かきの赤ちゃん

  • ホタテ貝の上で育ってきました

  • 旅立ちの時 大きくなってホタテ貝がもはや見えません

「実は、殻が大きく育っても身がどれくらい育っているのかは開けてみないと分からないんですよ」と新谷さん。
幼生が付着する貝は、北海道や青森の「ホタテ貝」の殻。それにワイヤーを通し、沖合の筏でじっくり育てます。夏から秋にかけて、台風などで海底を少し揺らすなどができればなおよし、とのことですが、「2023年は台風が一つも来なくて残念でした(苦笑)」。自然のことなので、人間の努力ではどうしようもないことも多々あるとのこと。そしてもうひとつ心配なのが、「海水温が下がりきらないと美味しい身にならないんですよ」。気候温暖化の影響か、海水の温度が高く推移し、年々肥えた身になりにくくなっているそう。気候変動の影響がまさに食卓の危機につながっていることが身近に感じられました。

  • 抑制棚で1年、筏で1年育てたものを

  • ワイヤーをカット!

  • 船上に次々に。

2年を経て成長した「かき」は、大きなクレーンでダイナミックに水揚げします。訪問した日はいいお天気、倉橋島から斉藤社長運転の船で、約50分かけてとある採取場へ。大きな筏(いかだ)に設置された約10メートルのワイヤー約12本(殻付きで約800kg)を、船上でカット。ザザーっと放たれる大小の「かき」。そのひとつを社長自ら割っていただき、何もつけずにむき身をパクッと。口に広がるミルキーな風味と、獲りたてならではのさわやかな塩味に大感動!

そして、「コープ商品」に

1船あたりむき身約0.8t分の水揚げを行い、帰路へ。工場裏が船着き場になっており、着いたら大きな汚れをドラムのシャワーで落とし、そのまま牡蠣をきれいな海水が入った水槽へ。コンテナに入れて一晩漬けて浄化します。
翌朝、浄化された牡蠣は、工場内部へ運ばれ「打ち子さん」とよばれる作業の方によって殻をむかれてマイナス40度で急速冷凍後、倉庫で待機。ちなみに手作業で剥かれるかきは主に「生食用」だそうで「加熱用」は、「PSOP(パスカルオイスタープラント)システム」で熱と圧力をかけて処理をするものも。これを使うことにより「かき殻が入りにくい」などの利点もあるそうです。

  • 採取してきたかきは、
    そのまま工場へ

  • 工場へ着いた瞬間から大切に処理へ

  • 手作業でひたすら剥きます

冷凍された牡蠣は、別工場でサイズ別に仕分けされ、様々な量販へ出荷されていきます。
コープきんきでは、Lサイズを「大粒」、3Lサイズを「特大粒」、4Lサイズを「特々大粒」として、ご注文いただいた組合員さんの元にお届けすることになるのです。新鮮なうちに冷凍されるため、お届け後も消費期限を気にして早く食べなきゃ!焦らなくてもよいのが嬉しいですね。とはいえ、ずっと冷凍庫に入れておくと「冷凍焼け」することもあるので「なるはや」で美味しくいただきましょう。

※商品情報・役職等は取材当時のものとなります。

編集後記

「コープに出荷しているのは、4~5月くらいの、いちばん遅い時期に採ったものものなんですよ」と工場長の新谷さん。かきの水揚げはだいたい10月~5月くらいまで。つまりいちばん成長している時期。大きい!というご利用組合員さんの声の通りなんですね。昔に比べると確かに価格は上がっているのですが、大事に大事に育てられた「クリーム色の宝石」を、ぜひ試してみてくださいね。

「組合員さんの評価が答えです!」日本生協連 水産担当増田さん

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