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From 熊本県熊本市 (有)ベジタブル・ユー <br>小原さんのお仕事流儀

From 熊本県熊本市(有)ベジタブル・ユー
小原さんのお仕事流儀

小さな葉っぱに大きな愛情

2024.04.25

小原さんちのベビーリーフ

※お取り扱いは生協によって異なります。


熊本県熊本市は、阿蘇の恵み「白川」と九州山地から注ぐ「緑川」の河口域。もともとは海だったことから肥沃な土壌には多くのミネラルが含まれ、県内でも屈指の農業地帯となっています。
そんな熊本市南区に約8haの広大な農場を構える有限会社ベジタブル・ユーを訪れたのは青空が澄み切った3月上旬。すくすくと成長するベビーリーフのお話を伺いました。

INTERVIEW

小原さんちのベビーリーフ

ベジタブルユ・ー参事の小原得弘(のりひろ)さん。

ベビーリーフが人気者になるまで

ベビーリーフとは、“ベビー”の名前の通り、葉物野菜の赤ちゃんのこと。成長に必要な栄養がたっぷり詰まっています。「小原さんのベビーリーフ」ではルッコラや水菜など季節ごとに適した5~6種類の幼葉をミックス。1つ1つのおいしさがありながらも味のバランスが良いのが特徴です。

  • 一面に広がる緑の絨毯。実はそれぞれ異なる野菜です

  • 収穫まであと4日くらい

ベジタブル・ユーでベビーリーフの栽培が始まったのは約20年前のこと。社長の小原弘一さんがアメリカに視察の際にベビーリーフに出会い、「これは面白い!」と日本に持ち帰り手探りで栽培をスタートさせました。「最初は市場でも全然構ってもらえなかった」と語るのは小原社長の長男、参事の小原得弘さん。そもそもベビーリーフは欧米生まれの生食用野菜。当時の日本では馴染みがなく、なかなか浸透しませんでした。単価も高く、1袋300円で販売していたことも!現在の1袋98円はなんてお手頃なんだと驚いてしまいます。軌道に乗り始めたのは関東のレストランで取り扱われるようになってから。口コミで広がり、コープでも取り扱いが始まると、徐々に組合員からの支持を得て、2016年からは産直野菜として毎週ご案内する人気商品になったのです。

今の、そして未来のおいしさに繋がる土作り

「土が良ければなんでもできる」と語る得弘さん。父の弘一さんから受け継いで、何よりも大切にしているのは土作りです。化学肥料は一切使用せず、「腐植」と呼ばれる畑に残った小さな葉っぱを微生物が分解したものを土に混ぜ、できるだけ自然に近い環境を作り上げています。「葉を腐植させるには、何十年と時間がかかる。正直効率は悪いです。でもそれを毎日少しずつ積み上げていくことで、何十年先の土を作っていくんです」と見つめる先には、そよそよと風に揺れるベビーリーフが広がっています。

我が子を見るような優しいまなざし

肥料だけでなく、水のやり具合にもプロの技が光ります。土に水分が多すぎると日持ちしない葉っぱになるので、表面はカラカラに乾き、内部にのみ水分がある状態がベストだそう。いつ、どれくらいの水をまくか、毎日朝夕に全ハウスの土の状態を触って見極めるとのことですが、ハウスの数はなんと130棟!「水のやり具合は何年経っても難しい。これでOKと思っても、社長から『もっと水をやらないと』と指摘されることもありますよ。毎日毎回勉強です」シャキッとおいしい葉っぱは、毎日の地道な積み重ねから生まれているんですね。

  • 土がコロコロしているのは状態が良い証拠

  • 野菜ごとに必要な水分量も変わります

ベストな状態でお届けするために

薄くてやわらかい葉を傷つけないよう、収穫は一枚一枚手作業で。夏場の作業は深夜から早朝の間。人間には厳しい時間帯ですが、葉っぱファーストで一番状態の良いときに収穫を行うんだそう。
収穫した葉は冷蔵庫で一晩じっくり寝かせます。「しっかり冷やして葉っぱの呼吸を止めることで、生育が進みにくくなり、鮮度が保てるんです」と得弘さん。冷やした後は種類の偏りがないか、葉に傷はないか、厳しくチェックして、こちらも手作業でブレンド。彩りのバランスにも気を配られているから、そのまま食卓に出しても十分見栄えがします。

  • ブレンドは空気を含むようにふんわりと

  • 1つ1つチェックしながら袋詰めも丁寧に

品質へのこだわりはパッケージにも。「小原さんちのベビーリーフ」のトレードマークは三角形のテトラパックです。パック内に空気を充満させることで、ベビーリーフ同士の衝撃を少なくし、摘みたての味わいをキープしたままお届けできるのです。

おしゃれな形は組合員さんからも大人気。

産地から食卓へ 直結だからこその想い

「暑いと葉はやわらかく、寒いと葉は分厚く固くなる。毎日変わっていくし、作る人によっても全然違います」と語るのは圃場管理担当の井上さん。ベジタブル・ユーのハウスがあるエリアは台風の通り道。鉄鋼でできた耐候性ハウスで葉を守りますが、それでもやはり人力での対応が欠かせないといいます。「野菜は生き物。育てるだけでなく、守る苦労が大きい」365日、目が離せるときはありません。

圃場管理担当の井上さん

「組合員さんから嬉しい声をもらえるのはありがたい。でもより良いものを作るためには、悪いところもどんどん教えてほしいんです」と得弘さんは言います。その言葉には、組合員の食卓に直結するからこその真摯な姿勢が込められていました。

おいしさ十葉十色 いろいろ入っているから毎日食べたい

ベビーリーフの醍醐味は個々の葉のおいしさが複雑に組み合わさって生まれるハーモニー。季節によって種類は変わりますが、よく使われる野菜の一部をご紹介。

(左から)
・ビート(鮮やかなグリーンに明るい赤色の茎が目印)
・ピノグリーン(小松菜の幼葉で厚みのある葉はみずみずしい)
・春菊(独特の香りとほろ苦い味わいが特徴)
・水菜(フレッシュで歯切れのよい食感)
・レッドオーク(鮮やかな彩りとほんのりナッツの香り)
・スピナッチ(緑黄色野菜の代表格・ほうれん草の幼葉)
・スパイシールッコラ(ピリッと辛みがアクセント)
・ルッコラ(ゴマ油のような香りとほのかな苦み)
・バターレタス(やわらかな葉から旨みがジュワッ)


まずはオリーブオイルとお塩だけで食べてみて

最後に、ベビーリーフのおすすめの食べ方をお聞きしました。「サラダはもちろん、刺身と合わせてカルパッチョとか、サンドイッチにも。いろんな葉っぱが入っていて栄養もあるので、1パック丸ごと使ってスムージーにしているスタッフもいますよ」とのこと。なるほど、やわらかく種類が豊富なベビーリーフだからこその楽しみ方!そのまま食べられる手軽さが魅力のベビーリーフも、少し手を加えるとさらにおいしさが広がりそう。まだまだ可能性が尽きません。

※商品情報・役職等は取材当時のものとなります。

編集後記

お話を伺う中で何度も出てきたのは「手間はかかるけれど、良いものを作るため」「コストはかかるけれど、大事な葉っぱを守るため」という言葉。すべてはおいしいベビーリーフを作るところに帰結していました。手間ひまをかけられ愛情たっぷりに育った小さな葉っぱの赤ちゃんたちは、おいしくて、使いやすくて、栄養もある。老若男女、幅広い組合員さんに愛されるのも納得です。

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