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From 新潟県 越後製菓のお仕事流儀

From 新潟県越後製菓のお仕事流儀

お餅にやどる技術者の魂、
しみじみ味わう技あり米菓

2024.10.03

COOP まる餅・切り餅・
うまい!堅焼きだし醤油・
ふんわりきなこ名人大入り

※お取り扱いは生協によって異なります。


梅雨の合間の風さわやかな季節。車からは、田植えを終えてすくすく育つ青い稲が見渡す限り広がっていました。この草原のような青い植物が、私たちのくらしに欠かせない宝物になるになるなんて…。「お米ってすごい!」と思わずにいられません。
今回は日本が誇るお米どころ、新潟県に本社・工場を構える「越後製菓」さんに伺いました。みんな大好きな「お餅」を、いつでもおいしく食べられる保存性“大”の食品として作り上げている技術と、そしてコープで人気の“あのお菓子”について秘密を伺ってきました。

INTERVIEW

COOP まる餅・切り餅・うまい!堅焼きだし醤油・ふんわりきなこ名人大入り

越後製菓株式会社 常務取締役小熊(おぐま)さん

お餅を「おいしく食べていただきたい!」
保存食としての「おいしさ&技術」を磨き上げ

「もともと餅は神事やお祝い事で食べられるもの」。と教えてくれたのは越後製菓株式会社常務取締役小熊(おぐま)さん。日本では岐阜県・関ケ原を境に西が「まる餅」東が「切り餅」と食文化の違いで形状の嗜好が分かれ、年間を通しては、まる餅が3割・切り餅が7割程の需要だそう。
「切り分けて保管することから“切り餅”が生まれましたが、元来“餅”は賞味期限が短く、日が経つほど劣化するもの。そこでなんとか日持ちがよくならないかと、当時の越後製菓とケミカルの他社さんとの試行錯誤の末、“脱酸素剤”の開発に成功したんです。数日程度だった餅の賞味期限がぐんと伸びて、生餅(加熱をしない餅)の流通が可能となりました。」とのこと。今では普通に見かける「脱酸素剤(エージレス)」ですが「生に限りなく近い餅を消費者においしく食べてほしい」というメーカーの願いが込められた技術だったのですね。

「丁寧に歴史と技術を語ってくださった小熊さん

ちなみに、現在は内と外の両包装に脱酸素剤を添付することで、内包装の酸素濃度が限りなくゼロに近い数値まで抑えられ、かつ水分量も保持できている餅となっているそう。そして今ではこの技術のおかげで、製造から2年間おいしくいただけるようになりました。
また餅本体の側面に5㎜スリット(切れ込み)が入っていることをお気づきでしょうか。ひと昔前、餅は主にストーブの上やコンロでの網焼きで、下方からの熱で加熱していていました。その後家庭でのトースター普及で、熱の加わり方が変わった(下から→上下)ことにより、餅の中身が飛び出すことが増えたそう。そんな困りごとを“スリット”をいれることで解決、餅の中身がはみ出ることを防ぐ成果が出たのです。製造者のたゆまぬ技術の磨きが、私たちにおいしい餅を“ストレスフリー”で食べられるようにしてくれたのですね。

高梨工場長・片桐さん

さて、餅の原料に使われる“もち米”ですが、どこのお米なんでしょうか。「全国から、主には北海道や九州から仕入れたお米をブレンドしています。各地のもち米を原料仕入れすることにより安定した価格と一定の数量の生産することできるんです」と高梨工場長の片桐さん。安定した生産量を確保する「お米の仕入れ」にはまず一番に気を付けておられます。「うるち米と混入には一番気をつかいますが、米は農産物なので、いろんなものが入ることがあるんですよ」と片桐さん。

圧巻のもち米原料倉庫。ここから異物の除去や選別を繰り返し白く美しい餅が生まれます。


しあわせな香りが漂う工場での、お餅つき

川口工場に移動し、まる餅製造の現場を見学します。
お餅は、洗米→浸漬→蒸す→おこわ状態→めつぶし→杵つき→成形→冷却→包装 という工程を経て製造、流通されます。異物などを除去し、洗米・浸漬したあとは、「蒸し工程」。よいお餅の香りが、子供のころの年末行事「餅つき」風景にタイムスリップさせてくれました。蒸気殺菌しながら30分かけてお米が蒸され、稼働しながら“おこわ”ができあがり。後はおおまかにまとめる「めつぶし」からクライマックスの「杵つき」工程へ。

川口工場長・小林さん

ここで登場するのが越後製菓さん自慢の「杵つきマシーン」。杵を模したマシーンに、約8㎏ずつに分けられてつかれる餅の姿は圧巻!です。
「餅は“団粒構造”が大切」と川口工場長の小林さん。適切な回数でつかれることによりよりよい食感(こし・のび)が生まれるそう。つく回数が多いと細かい構造となり「のびるが歯切れがよくない」、少ないと「歯切れはいいがのびない」餅となるとのこと。おいしさの2要素「こし」「のび」は計算つくされた適切なつき回数により現れてくるのです。ここでも老舗メーカーさんの技術が冴えわたります。

つかれた餅は、切り餅・まる餅へそれぞれ成型されます。まる餅は絞りながら板に落とされ、加熱後、自重によりきれいな丸形に形成され冷蔵庫へ。切り餅は、板と板のあいだに挟まれ急速冷却されていきます。最後に、脱酸素剤をつけて包装後、賞味期限と製造ロットを印字、異物検査やX線検査を経て、外包装され出荷されます。まる餅は1㎏パックを1万パック/日、切り餅は6万パック/日の生産がされる規模とのこと。米と餅の何とも言えない香りは名残惜しいのですが、次のお楽しみのために移動します。

いつまでも見ていられる圧巻の「餅つきマシーン」

まるで白い宝石!
出来たて・つやつやの丸餅。

“他にないものを!”唯一無二の米菓たち

コープきんきでの人気米菓NO1!同じ越後製菓で製造している、もうひとつ大きい柱の製品は「米菓」。皆さんご存じの米菓メーカーが多くあるのが、お米どころ新潟です。とくにコープきんきで長きにわたる米菓NO1商品があるのです。「うまい!堅焼きだし醤油味」はみなさん食べられたことがありますか。クチコミでも大評判!クチコミ216件で★満点の5という、なんとも華々しい評価の米菓なのです(2024年7月23日現在)。
片貝工場の小林工場長に話を伺いました。

片貝工場長・小林さん

黄金色の米菓ができあがってくる

「昔は製造で割れたせんべいは、B級品として社内販売にしとったんです。ある日“割れてる方が食べやすい”との声があり、そういわれたらそうだな、と」。製品として販売すると「割れ口にも醤油がしみて美味しい」と好評で、定番の商品となりました。その後関西で人気の「だし醤油」フレーバー品としてコープきんきでオリジナル化し現在に至ります。「小袋でちょうどよい量」「癖になってやめられない」などのクチコミは、なるほど食べて思わずうなる味。現在では「割れたものを製品とするのではなく、製造工程で割るんですよ」。
さらにもうひとつ、越後製菓さんの自慢の米菓といえば「ふ~んわり」とした食感が衝撃的な「ふんわり名人きなこもち」。

工場内の商品展示室にて

「これはね、当時のうちの社長の号令があって、試行錯誤してつくったんですよ」と小林さん。「新潟にはいろんな米菓屋があって、煎餅にしろおかきにしろ、同じようなものを作っていては勝負にならない。」そこで、今まで誰も食べたことのない、あの“やさしくて”“口の中でとろけるような唯一無二のお菓子”を開発したそう。ちなみに、新潟県は米菓の出荷量が全国NO1をキープしており、大小合わせて約10企業が自慢の味づくりを追及し続けてる米菓の激戦区ならではのお話をいただきました。
「特に“きなこもち”は」越後製菓一番の出荷量を誇る米菓に成長。「原料のお米もきなこも国産なんですよ。そして必要なものしか使っていない原料も魅力、じゃないでしょうか」と小林さん。パッケージの裏面を拝見すると…なるほど「植物油脂、もち米、砂糖、きなこ、ぶどう糖、和三盆糖、食塩」など、大変シンプルな材料で作っているのでした。お子さんにも安心して食べさせられるポイントですね。

※商品情報・役職等は取材当時のものとなります。

編集後記

今回伺った小千谷市や、越後製菓本社のある長岡市は、花火大会が多く開催されることで有名な地域。「この米菓工場のある片貝地区では、地域でお祝い事があると、みんなでお金を出し合って花火を上げるんですよ」と片貝工場・小林工場長。なんとも温かみのある風習です。越後製菓さんの「お餅を長くおいしく食べてほしい」という創業からの「人に寄り添う願い」と同じエッセンスが、脈々と継がれているのかもしれません。そんなことを思いながらこの地を後にしました。

  • 7月はまだ青々とした美しい水田が続いていました。

  • 「普段も、もちろん新春にも、技術者自慢の味をお楽しみくださいね。」小林工場長

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