- ホーム/
- 商品のこと/
- つくるひと つくるところ/
Productつくるひと つくるところ
「人」がわかると商品もわかる。コープの商品に携わる“中の人”をとおして想いを届けます。

From 北海道/和歌山JA北いぶき/(株)豆紀のお仕事流儀
北海道から和歌山へ!
スズマル大豆がゆく1,800キロ
2025.01.31
COOP 北海道の小粒納豆
※お取り扱いは生協によって異なります。
食料品の値上がりがくらしを圧迫する昨今、ついつい価格だけで判断してお買い物をしがち。「安くておいしく食べられるコープの人気商品」の代表として「北海道の小粒納豆」をおすすめしたいのですが…。
ただ、「納豆は匂いがちょっと…」「絶対無理!」という人も。実はコープきんきには、そんな人たちを「これなら食べられる!」と驚かせた「納豆」があるのです。今回は納豆の原料「大豆」の約1,800キロメートルの旅に出てみましょう。
INTERVIEW

和歌山市 株式会社豆紀 西川工場長
製造工場・和歌山県の豆紀さんへ
暑さが残る9月下旬にコープの「北海道の小粒納豆」の製造をされている和歌山の納豆メーカー豆紀さんの工場を訪問しました。
「和歌山自体納豆の消費があまり多くないですが、湯浅など醤油製造の関係で大豆製品のなじみがあるところだったのでしょうか。」と営業の川崎さん。ご存じの通り、関東と関西とでは「納豆」の生産量と消費量がまったく異なります。「関西では、ごはんに載せてというより一品でそのまま食する方が多いようですよ。」
そんなよもやま話を含め、コープきんきで人気の「北海道の小粒納豆」のお話をしてくださいました。
-
「ファンをもっともっと増やしたい!」
(営業・川崎さん) -
「大豆の味がしっかりしているので私はタレなしが
一番好き」と西川さん
はじまりは2007年。「コープ国産小粒納豆」デビューののち、大豆生産地のJA北いぶきさんとの交流がスタート。「産地が見えるシリーズ」「トレース資料」の作成、「産地点検の開始」などを経て「COOP北海道の小粒納豆」が誕生しました。人気の「タレ」の味もここで決まったとのこと。
以来、コープきんきと生産地/生産者との産地交流や、職員の学習会、組合員さんへの自動注文の利用登録運動などで、徐々にご利用を伸ばしてきました。今では宅配で毎週約35,000人の組合員さんに約50,000点のご利用がある商品として成長しています。
「安心・安全を創造の精神で、従業員には“みなさんが作ったものが組合員さんに届くんですよ”と常に意識を共有しています。なので“丁寧にちゃんと作業”これにつきます。」と工場長の西川さん。この仕事を26年現場で支える大ベテランです。納豆製造はメーカー各社でほぼ変わりない工程で、シンプルな作り方だからこそ、素材の良し悪しや製造での微妙な加減が仕上がりに影響するそうです。
「素材の良し悪し」? そもそも「スズマル大豆」ってどんな大豆?
少し時を戻して、2024年10月初旬の北海道北いぶきの産地へ行ってみましょう。
納豆の製造工程
原料の選別➢大豆の浸漬➢蒸煮➢納豆菌を噴霧➢盛り込み(容器に入れる)➢保管しながら発酵➢
品質検査➢包装➢出荷
北海道の大豆産地・北海道の
JA北いぶきへ
さて、ここは北海道雨竜郡妹背牛(もせうし)町にあるJA北いぶき大豆生産組合・加藤さんの大豆の圃場。東京ドーム1個分と広大な面積の圃場では収穫が早めに進み、伺った頃はほぼ終盤でした。
「暑い夏だったけど、いい感じでできあがったよ!」と加藤さん。素敵な笑顔で私たちを迎えてくれました。昨年は猛暑の影響で大量にカメムシ(身を食べる)が発生して出来がよくなかったこと、それを踏まえて今年は対策に工夫をしたことを、同行したJA北いぶき職員斎藤さんより事前に伺っていましたが、長年大豆生産に携わっている加藤さんでも、毎年の生育環境の変化に対応するための学びや組合の中での情報共有が欠かせないとおっしゃっていたのが印象的でした。
収穫物を持つ加藤さん。カラカラに乾いた大豆の
さやには、とても粒の小さい白い大豆。
今年は平年よりも気温が高め(観測史上2番目、昨年が1番)であったものの、朝晩の適度な冷え込みや病害虫対策が奏功して生育状況はよかったそうです。それでも、
・生育方法などについて、3月くらいに今年の方針を決めて全体に共有
・農薬を使用するときはきちんとJA→豆紀(メーカー)→日本生協連(販売)の流れで“使用可否の確認”をとっているなど、大豆の生産段階から安全品質の管理をきっちり行なってくださっていることが分かりました。
さらに、卸の(株)藤井さんで、流通段階で大きさや色、虫食いがないかなどをしっかり選別されていました。
私たちが食べる納豆原料を大切に育て流通してくださってありがとう!と思わず感謝。そして、加藤さんが作っている「スズマル大豆」をもう少し知りたい! さらに時を戻し7月初旬に。
-
JA北いぶき 斎藤さん
-
大豆の選別/保管/輸送を担う(株)藤井の藤井さん
7月初旬。5月に作付した「スズマル品種の大豆」がふくらはぎぐらいの高さに成長している大豆の圃場に伺いました。どんな作物栽培でも頭を悩ますのは「雑草取り」だそうで、成長が進んでいないこの時期は大型の除草機を入れられますが、もっと成長すると“人力”で行わなければならないとのこと。高齢化や代替わりが進まないなどから全国的に農業人口が減っており、「後継者問題はどこも悩むところじゃないかなあ」とJA北いぶき大豆生産組合の植田さん。加えて、夏の北海道も暑くなってきており、栽培環境が大きく変化してきているとのこと。ここJA北いぶきでも廃業や大豆の生産中止をされる農家さんが増え、大豆生産農家さんの数が61軒から55軒に減ったそう(2024年)です。
幸い、JA北いぶき管内では、一軒当たりの作付けを増やすことで、トータルの作付面積を維持していただいています。先代から受け継ぎ、創意工夫をして農業経営を行なっている若き生産者とも交流でき、少し安心。「家族と生活できるように、受け継いだ土地で農家経営を頑張りたい」と頼もしいことばです。私たちの「COOP北海道の小粒納豆」の未来はこの生産者にかかっているわけですね。
では、そもそも「スズマル品種の大豆」ってどんな大豆なのでしょうか。

JA北いぶき大豆生産組合 植田さん
畑を見せてくださいました
納豆にどんぴしゃ!の品種
「スズマル」
「この大豆はどちらかといえばタンパク値が低く糖質が多いのです」と日本生協連・日配担当の東さん。タンパク値の高い大豆は主に豆腐などに適しているとのこと。他品種大豆の納豆とこの“スズマル種”大豆を使ったコープの納豆を食べ比べてみると、特有のえぐみがなくほんのり甘めで、さらにしっかりとした粒感が口の中に際立ちます。東さんも「実は他の納豆は苦手なんですが、この納豆は食べられるんですよ」とのこと。コープきんきの組合員さんからも同様のお声を多くいただいており、このスズマル品種の大豆は納豆の食文化がないきんきの組合員さんにぴったりマッチしているのかもしれません。
-
日本生協連日配の担当・東さん
-
大豆の大きさを比べてみたら。
こんなに違うのですね!
また、このスズマル品種の大豆は、JA北いぶきでは大豆生産組合に加入していないと契約栽培大豆の生産ができない仕組みになっています。生産する大豆をスズマルにほぼ限定し、種子や肥料といった生産管理、農薬管理や商品管理を共同して行うなど、約55戸の生産者が足並みを揃え生産に取り組んでいます。生産した「スズマル品種」の大豆は、そのほとんどが「コープきんき」の納豆の原料として使われる(※一部は他社で使用)そう。
ただ、通常の大豆より病害虫(ダイズシストセンチュウ)に弱いことから、栽培にかかる手間は多めで、作る立場からは効率がよくない大豆の品種でもあります。
生産された「大豆」は、J Aさんの倉庫を経て北海道産の穀物を取り扱う卸売業「藤井」さんへ。こちらで数回の選別をされてのち、旭川からJ R貨物でコンテナに積み込まれ大阪経由で和歌山の豆紀工場へ。冒頭の豆紀さんの工場で製品化された納豆は、生まれた地から長~い道のりを経て、コープきんき組合員のみなさんの食卓にお届けされるのでした。
※商品情報・役職等は取材当時のものとなります。
編集後記
生産地に訪問した際「私たちは国産の大豆を“安定して作りたい”という気持ちで頑張ってつくっています。それをコープの組合員さんにぜひ知ってほしい!」という生産者の強い言葉が胸を打ちました。
「おいしい」の元は「コスパ」「タイパ」だけじゃなく、あらゆる人が関わり努力して成り立つものであること。このことを思いながら食べる納豆は、もっとおいしくなるのではないでしょうか。
