Productつくるひと つくるところ

「人」がわかると商品もわかる。コープの商品に携わる“中の人”をとおして想いを届けます。

From鹿児島県・鹿屋市 大隅地区養まん漁業協同組合のお仕事流儀

From鹿児島県・鹿屋市大隅地区養まん漁業協同組合のお仕事流儀

おいしさ一気通貫!
コープのうなぎ蒲焼

2025.05.30

「CO・OP大隅産うなぎ蒲焼」

※お取り扱いは生協によって異なります。

「ふっくら?それともカリッとした食感が好き?」
夏の「土用の丑」が近づくと、こんな会話が聞かれます。そのスタミナ効果の期待からか、うなぎの蒲焼は多くの家庭で楽しまれるご馳走メニューですよね(でも高い!)。
鹿児島県は現在日本一の出荷量を誇る生産地。中でも「大隅産のうなぎ」は、その味と品質で全国から注目される存在です。組合員さんから人気の「コープのうなぎ」の主な生産地もこちら(一部異なります)。そのおいしさの秘密を探ってみましょう。

INTERVIEW

「CO・OP大隅産うなぎ蒲焼」

大隅地区養まん漁業協同組合の奥園さん 
うなぎ生産・販売のエキスパートです

豊かな水環境、広大な土地が育む命

鹿児島県鹿屋市は、豊かな自然環境と地下水に恵まれた地域。豚や牛、鶏肉などの畜産業でも有名なところですが、その地の利を生かして養鰻業も盛んです。見てください、この水の透明度!この美しさに象徴される、霧島山系の地下水は、大量の水が必要な「養まん(うなぎの養殖)」にとって欠かせない資源です。

「美しいでしょう」と誇らしげ案内してくれたのは、大隅地区養まん漁業協同組合販売部長の奥園さん。
かつてうなぎの養殖は静岡県が一大産地(浜松が有名)。その後各地に広がり、現在は愛知県以西に大きな産地が点在しており、鹿児島は生産量が日本一となっています。

透明度が高すぎて写真ではわかりにくい「清水」(この場所の水を必ず使用しているわけではありません)

日本のうなぎ養殖の歴史は1880年(明治13年)頃、東京深川から始まったといわれています。
うなぎは太平洋、大西洋、インド洋の温帯域から熱帯域にかけて広く分布、世界には19種類が確認されています。私たちが、日本で養殖しているウナギの種類は、ニホンウナギ(学名:Anguilla japonica)といい、主にマリアナ諸島西方海域で産卵したものがふ化し、その稚魚が成長しながら黒潮に乗って11月から翌4月頃に日本の沿岸にたどり着くといわれています。その稚魚(しらす)を法律で許された漁師が網ですくい、池に入れて育てるのです。

つぶらな瞳がかわいい?!
大隅養まん漁協組合で育ったうなぎ

貴重なうなぎの稚魚(しらす)を大切に育てるのは、養まん漁協組合に所属する養殖職人のみなさん。今回は志布志市で養まんを営む楠田さんの池にお邪魔しました。暖冬の今年ではありますが、少し寒い11月。
一見、ビニールハウスの畑が並んでいると思ったら、そこはうなぎを育てる池・池・池。水温を約30度で保つ多層のビニールハウス構造の池で、大切に育てられています。
「鹿児島は台風が多いとこなんもんで、守りもしっかり三重(さんじゅう)にしています」と楠田さんがおっしゃいます。

  • 大楠鰻(株) 楠田利浩さん・
    楠田幸希さん(左)

  • 農作物?いいえ、中にはうなぎの
    池があるんです

  • ビニールハウスの中は…
    ほんのりあったか。
    ここでうなぎが育ちます。

「仕事だから、苦労しているって特に思わないんだよね。大変っていえば、飼料や光熱費の高騰かな」と楠田さん。
ひとつの池につき約5万尾いるうなぎを相手に365日のお仕事。早朝4時の給餌から、1日が始まります。魚粉を油と水を入れて捏ねたものを、うなぎの状態を見て調整しながら与えるのですが、1日でなんと約50袋(20Kg入りなので、約1トン!)を使うそう。さらに水にはしっかり酸素を入れ、温度管理(約30度)を行った池で約8ヶ月~1年育てます。水温が低下しないよう、保温管理も欠かせません。自家発電設備や保温状況の管理にコンピューター基盤の活用など、うなぎが快適に育つ条件を人間が整えているのです。

  • 池ごとに現在の品温などが分かる
    テクノロジーも完備

  • これはなんでしょう?

  • うなぎがガツガツ食べにくる
    エサ、なんです

経験をもとに「おいしさ」に挑む

「経験しか基にできないんですよね。」と、生産者の楠田幸希さん。
「マニュアルがないので、仮説とトライアンドエラーとの繰り返しのうなぎ育て。それで良い結果が出るとたまらなく嬉しいです。食べた方からのフィードバックがあったら、もっといいのになあ」とのこと。みなさん、おいしい声をぜひコープに届けてくださいね!

若手の養鰻職人 楠田幸希さん

池でしっかり育てられたうなぎは、サイズごとに選別されてから、大隅養まん漁協組合の加工場へと出荷されます。

コープのうなぎがおいしい理由はもうひとつ、うなぎの養殖から蒲焼き製造まで「一気通貫」であること。
作業場でさばいて割いた鰻をすぐに焼き、包装して冷凍。かかる時間は約「100分」と、スピード感のあるあざやかな匠の加工方法を全部見せていただきました。「鮮度の良い状態から素早く加工し、包装まで一気にやるから、冷凍だけどふっくら美味しい蒲焼になるんですよ」と奥園さん。では、おいしさの秘密があるという現場に潜入見学いたしましょう~。

  • うなぎをサイズにより選別します

さばいて、蒸して、焼いて

大隅養まん漁協組合では、1日に約5.6トン(2.5万匹)の活うなぎが加工されます。
まず、職人がすばやく丁寧に養殖場から運ばれたうなぎをさばいていきます。あざやかなさばきっぷりに、時間を忘れるほど見とれてしまいました。その後さばかれたうなぎは、ラインに乗せられ、「焼き」の工程へ。まずは皮目から焼き、余分な脂を落とします(この段階ではタレを漬けない「白焼き」状態)。

  • 池からやってきたうなぎはまず
    「立て場」で待機、
    サイズ別に分けられます。

  • 包丁を握る真剣な眼差し。
    スピード感に目が釘付けです!

  • 丁寧に美しく、私たちが
    次に食するための準備を
    していただきます。

次に「蒸し」工程に進みます。
うなぎは背骨の周りに小骨が多い魚であるため、それが目立たないように蒸し工程で柔らかくしていきます。ただ、蒸しすぎると脂分が落ちすぎておいしくなくなるため、ここは職人の腕の見せ所だそう。
そして、いよいよ「蒲焼」に。タレ漬けをし、焼いて、またタレを漬け…を4回ずつ繰り返し、しっかりと身にタレを染ませていきます。焦げ付きを防ぐため、時間を徐々に短くしながら焼いていき…。このあと、真空でパックされた後、冷凍され製品として完成します。

  • 捌いたうなぎが乗せられて、
    ここからはずっと一つのベルトで。

  • 蒸しの工程で、小骨を柔らかく

  • 見てください!
    てりってりの蒲焼誕生!

最後のもう一工夫が「マチ」のついた包装容器。これに焼きあがった蒲焼を入れることで、真空パック包装をしてもふっくら加減が保たれ、うなぎがつぶれないのです。
今も昔もごちそうの「うなぎの蒲焼」。ごちそうであるには、手間をかけておいしさをしっかり作り上げた「理由」がちゃんとあったのですね。

失敗なし!おいしい調理方法

最後に、大隅養まん組合 販売部長奥園さんにおすすめの食べ方をお聞きしました。
「フライパンで湯煎だけでもOKですよ。香ばしさが欲しい場合、トースターやグリルで焼いてくださいね。たまについているタレを洗い流す人がいるけど、おいしいタレなので、できればそのままで。“タレ”は黒っぽく見えるんですが、着色料を入れていないからなんです。」

なるほど。実際私たちが食べさせていただいたうな丼は「湯せん」で温めただけでしたが、とてもふっくら肉厚で、淡泊な白身魚のよさがしっかり味わえました。本当に「ご馳走様」でした!

  • うなぎの厚さに沿った包装が、ふっくらさを保ちます

  • 食事でいただいた鰻丼。

※商品情報・役職等は取材当時のものとなります。

編集後記

こうして生産された「大隅産うなぎ蒲焼」。そのふっくら柔らかな食感と香ばしい味わいは、地域の自然と健康なうなぎ、そして「さばいて」「蒸して」「焼いて」「タレを4回つけて」「包んで」など、加工職人の時間との勝負に勝つための工夫や努力があってこそ。ひとつの丼に込められた想いやかけられた手間を知ることで、特別な存在に感じられるはず。夏だけと言わず、一年を通して生協自慢の「大隅産うなぎ蒲焼」を楽しんでくださいね。

この夏も「COOP 大隅産うなぎ蒲焼」をぜひ!

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