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Productつくるひと つくるところ
「人」がわかると商品もわかる。コープの商品に携わる“中の人”をとおして想いを届けます。

From宮城県ニチモウ株式会社の
お仕事流儀
「日本一の銀鮭を作ろう」
三陸の海で続く挑戦
2026.09.03
「三陸育ちの塩銀鮭切身」
シリーズ
※お取り扱いは生協によって異なります。
INDEX
「和食の魚」と言えば、頭に浮かぶ“鮭の切り身”。
日本で獲れる銀鮭の量は年間1.5~1.8万トンほどで、なんとそのうちの約90%を宮城県が占めています。
今回ご紹介する「三陸育ちの塩銀鮭切身」も、コープきんきで取り扱いが始まった2014年から12年間、毎年利用が伸び続けている人気商品。
三陸の鮭はなぜおいしい?その人気の秘密を紐解きに、自然豊かで活気ある港町・宮城県石巻市を訪れました。
INTERVIEW

絶品の鮭を育むゆりかご、
三陸・リアス式海岸
岩手・宮城にまたがる三陸海岸は、日本最大級の長さを誇るリアス式海岸。岬と入江が複雑に入り組む形状から波が穏やかで養殖の環境を整えやすく、水深も深いため鮭にとって快適な水温(16~18℃)が保ちやすいと言われてます。また、石巻市の周辺に広がる金華山沖は、親潮(寒流)と黒潮(暖流)が交わる潮目で栄養豊富な世界三大漁場の一つ。周りを囲む様々な自然環境の恵みを受けて、石巻市は銀鮭養殖の一大産地となっているのです。

では実際に「三陸育ちの塩銀鮭」がどのように作られているか見ていきましょう。
商品設計を行っているのは、「浜から食卓まで」をコンセプトに掲げる水産会社のニチモウ㈱。発眼卵の買い付けから商品の加工まで、ニチモウグループで一貫管理を行っています。銀鮭の養殖を行うのも、ニチモウが提携している指定生産者8名に限定。「ニチモウ銀鮭会」として、成果を競うライバルでもあり、知恵を共有し合う頼もしい仲間たちです。
山から海へ、
バトンを繋いで育てる銀鮭
銀鮭の養殖はまず稚魚の育成から始まります。1月末に卵からかえった稚魚は、成長に合わせて伏流水が張られた山あいの生簀から河川水の生簀へと移りながら、年末の11~12月に海面養殖場へと出荷されるまでの約11カ月間、稚魚養殖専門の生産者により手間暇をかけて大切に育てられます。
稚魚が150~200gほどの大きさに育つと、銀鮭養殖の生産者の手に渡りいよいよ海の生簀へ。
今回お伺いしたのはニチモウ銀鮭会の8名の内の一人、石巻市雄勝町にある佐藤さんの漁場。陸地から600mほど離れた場所に、3つの生簀が浮かびます。

ニチモウ銀鮭会の生産者・佐藤さん

生簀の形は八角形。
魚は円を描くように泳ぐため、生簀もなるべく
円に近い形が良いとされているのだとか。
食べる物、育つ環境、
すべては今と未来の鮭のために
与える飼料はニチモウが指定したものだけを使用。環境に配慮した持続可能な養殖業を目指すMEL(マリン・エコラベル・ジャパン)認証を取得したことをきっかけに、天然資源を守るため、天然のいわしを主原料とする魚粉を減らしたエサを約5年かけて開発したそう。現在は旧来の魚粉を多く使用したエサと比べても魚の成長度が変わらないレベルの飼料になっていると言います。「今良い魚が獲れればいいわけではない。未来の魚を守ることも、同じくらい大切なんです」とニチモウマリカルチャーの北出さんは語ります。

天然資源を守るため、魚粉の含有量を減らしたエサ

養殖現場で生産者をサポートする
ニチモウマリカルチャーの北出さん
鮭の状態はどうか、きちんとエサを食べているか、日々気を配ることは多々ある中で、特に注視するのは天候だそうです。佐藤さん曰く、「雨はいいけど、困るのは風。風が強いと生簀が煽られて浮かんでしまい、下から魚が逃げてしまう。鮭にも、働くスタッフにとっても負担が大きい」とのこと。養殖ならではの苦労が垣間見えます。
漁場の下に魚のフンが溜まると水質が悪化するため、
人にも魚にも害のない、海水由来の底質改善剤を
撒いて
環境を整えます。
「大切なのは鮭にストレスを与えないこと。出荷できるかを見定める時も、たもですくってから判断するとストレスがかかるし、ウロコが剥がれて傷んでしまうので、泳いでいる状態で選別するんです」と語る佐藤さん。大量の鮭が泳ぐ生簀の中から状態を瞬時に見極めるのはまさに職人技。すべては「おいしい!」と喜んでくれる組合員の食卓に、より良い鮭を届けたいという想いから。
海から陸へ、美味い鮭はスピード勝負
いよいよ水揚げされた銀鮭は、規定に沿った仕上がりかニチモウの社員がきっちりチェック。商品加工を担う㈱スイシンの工場に運ばれると、息つく間もなく加工がスタート。捌かれた鮭に塩味をつけ、急速凍結することで獲れたての鮮度を維持します。ニチモウの新井さんは「魚の細胞を生きた状態に近いまま凍らせると、解凍してもドリップが出にくく、風味が保たれるんです」と教えてくれました。
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針のような機械で鮭に直接塩水を注入することで、
ふっくらとした身に。 -

塩水を注入した後、さらに塩水に漬け込んで
塩味を均等に馴染ませます。

加工の現場を管轄するニチモウの新井さん
苦難を何度も乗り越えて、
三陸の銀鮭ここにあり
ニチモウの銀鮭事業がスタートしたのは1980年。天然銀鮭が生息するアメリカ海岸の環境と、三陸海岸の環境が似ていることに目をつけ、日本で初めて銀鮭の養殖に挑みました。取り組みは順調に成長…と思いきや、1990年代初頭に海外産の安い銀鮭の輸入が勢いを増したことで国内の相場は大暴落。一時は約300軒にまで増えた生産者も80軒ほどに減少するなど、苦境の時代に陥りました。「そんな中で、輸入数に左右されない、独自の強みを活かした養殖へのチャレンジに舵を切り、志を同じくする生産者たちと立ち上げたのが『ニチモウ銀鮭会』です」と北出さん。「震災で資材が流されて大打撃を受けた時も、『日本一の銀鮭をつくろう』と共に誓いを立てて再起したんです」。銀鮭が繋ぐ、ニチモウと生産者たちの強い絆。その当時の生産者たちが今も銀鮭会のメンバーとして、三陸の鮭を盛り立てているのです。
ニチモウフーズの和田さんは「『銀鮭おいしくなったよね』と言ってもらえるのが本当に嬉しい。エサの改良や、生産現場での日々の努力が、鮭の味を通してきちんと届いてるんだと実感できる」と語ってくれました。

商品の営業を担うニチモウフーズの和田さん
おうちで仕上げる、おいしい銀鮭
素材の味はお墨付きの「三陸育ちの塩銀鮭」、おうちでおいしく食べるには?「冷蔵庫で3~4時間かけてゆっくり解凍し、弱火か中火でじっくりと、でも焼きすぎないのがしっとり仕上げるポイントです」と新井さん。生産者の佐藤さんは、少し変わった食べ方としてレモンソースをかけたムニエルをおすすめしてくれました。「鮭の味がしっかりしているから、さっぱりした味付けと相性がいい」とのこと。そのままでも、アレンジしてもおいしい銀鮭は、食卓のスタメン入り間違いなしです。
※商品情報・役職等は取材当時のものとなります。
編集後記
銀鮭は水温により1日20~30gもの速さで成長するそう。海水温の上昇など、絶えず変化し続ける自然環境は水産の現場でも大きな課題となっています。印象的だったのは、生産者・佐藤さんの「自然相手の仕事です。ずっと自然に適合してきたし、これからもそうしていく」という言葉。その時々の自然に順応しながら、より良い鮭を育てる方法を模索する生産者たち。生産者と共に、環境に配慮した養殖の基盤を整えるニチモウ。心強い味方に見守られながら育った銀鮭を、余すことなくおいしくいただくことこそが、産地と環境への一番身近なエールなのかもしれません。















