QualityALPS処理水の海洋放出に関するコープきんきの見解

東京電力福島第一原子力発電所からのALPS処理水の海洋放出が8月24日より開始されました。コープきんきは、この件について以下のように考えます。

1.安全性や検査について

  • (1)ALPS処理水の海洋放出による健康影響について
  • ・ALPS処理水の海洋放出にともなう人への健康影響、環境影響、海産物を摂取した場合の影響については、発電所周辺で取れた海産物のみを摂取するといった想定でのリスク評価も行われており、現時点ではこれらの安全性に懸念はないものと考えます。
  • (2)自主基準について
  • ・トリチウムが現在のバックグラウンド値より高い濃度で海産物から検出される可能性はかなり低く、現時点での安全性への懸念はないと考えらえることから、きんきとしてトリチウムについて自主基準等を設けることはいたしません。
  • (3)海産物等のトリチウムの検査について
  • ・トリチウムはWHO飲料水基準の約7分の1未満まで希釈されて海洋放出されます。放出後は移流、拡散して、周辺海域の海水にもともと含まれる濃度とほぼ同じ濃度になると考えられ、生物濃縮もこれまでに確認されていないことから、安全性の観点からの検査実施は必要ないと考えます。
  • ・また、トリチウムは海水や水道水中にも存在しますので、検査結果についても、検出が処理水に由来するものか、その解釈は困難です。迅速分析では検出下限値が高く、おそらくすべての結果が「検出せず」となる想定で、詳細な状況評価には適しません。
  • ・したがって、コープきんきとしては検査を実施する予定はありません。
  • (4)留意点や課題について
  • ・(1)で安全性に懸念はないと述べましたが、これは事前の計画通りに、間違いなく実施・運用された場合です。海洋放出が実行に移された場合には長期に渡り放出が続く(30 年以上と言われています)ことから、国、地方自治体、IAEA 等による長期の監視が必要であると考えます。コープきんきとしても国や東京電力のモニタリング結果を確認し、必要な対応があれば検討していきます。

2.福島県産の海産物の取扱いについて

  • (1)今後も福島県産を区別することなく、福島県産品を含む国産の農水畜産物を積極的に取り扱ってまいります。
  • (2)また、中国への日本産海産物の禁輸といった影響の広がりを注視し、状況に応じて産地の応援につながる商品の取扱いを検討してまいります。

3.海洋放出に至るプロセスや課題について

  • (1)コープきんきとしては、今回の海洋放出について、社会的合意形成のプロセスに課題を残し、国内外の理解醸成不足や事業者の経済面での不安等による反対の声もある中での放出開始であるとの認識です。
  • (2)長期にわたる安全性の確保が必要なことは当然ですが、国として情報公開を徹底し、状況を分かりやすく伝えることで国内外の理解を促進し風評被害を防止すること、運用に際しステークホルダーや第三者の監査を受けたり、継続的な協議やコミュニケーションを実施したりすることで信頼を高めることも重要と考えます。

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